新婚みたいな

□一緒にいる時間
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伊集院、あのヤロ…朝っぱらから呼び出しやがって。
桐嶋は軽く心の内で悪態をつきながら家への道を歩く。

営業の横澤は日曜は普通に休みで、
日和ももちろん学校が休みで、
だから午後、日和が友達の家に行くまでは3人での時間を過ごすはずだったのだ。

これが修羅場に突入しようものなら絶対休めないから、桐嶋は比較的余裕のあるうちに家族の時間を確保しておきたかったのだ。


仕事は嫌いじゃないし、キチンとこなさなければならない事は分かっている。
しかし、伊集院の呼び出してきた理由は実にくだらなく、前に桐嶋が打ち合わせで言ったのに忘れていた箇所だった。
ついでにネームの話をしていたら、何時の間にか昼下がり…とこう言うわけだ。


(やべー、横澤に会いたい)
(ひよ、もう出かけたかな…)


そう思いの膨らむ度に、桐嶋の歩くペースは少し、また少し速くなり、
マンションに着く頃にはほぼ駆け足状態だった。


約束してたのに申し訳ない、とかそんな感情ではない。
誰よりも桐嶋自身が3人で過ごしたくて…。


「ただいま…っ」




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