新婚みたいな

□特効薬
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「何でこうなる前に気付かなかった」


桐嶋は編集長の席で頭を抱えていた。
一押し作家が何故か急にペースダウンし、デッドまであと丸1日というのに真っ白原稿が10枚。


「待つしかねーな…」


自分の担当作家もまだカットが一枚上がってこないため、迂闊にここから離れられない。
担当の部下を手伝いにやっているが、桐嶋自ら押しかけたい気は山々なのだ。


「あー、畜生、イライラする」

校了した部下を返してしまったため、誰もいないジャプン編集部で桐嶋は1人頭を掻きむしった。

(タバコ吸いてーな…)


日和が生まれてからキッパリ辞めたハズのタバコを求めてポケットを探ってしまう。


「チッ……誰かに分けてもらうかな」


知っている人が分けてくれる可能性に賭けて、桐嶋は携帯だけ引っつかんで休憩所へと足を運んだ。



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