遠慮ばっかり
□アイカギ
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「マジ…」
敬語を忘れた雪名が、口元を手で抑える。
すぐにはしゃぐと思ったのに、意外と静かだな、とその顔を睨むように見守った。
「木佐さーん!俺今嬉しすぎて死にそう!」
「ま、まだ死んでもらっちゃ困る」
抱き付かれて、ドキドキしながらも精一杯冷静に突っ込む。
肩口に顔を埋められたせいで、首に当たる髪の毛がくすぐったい。
「木佐さん…いつでも来て良いってことですよね?!」
「その代わりに泊まりは程々にしろよ」
「はい!」
待ち望んだ綺麗すぎる笑顔に当てられて、俺はこのままキュン死にするんじゃないかとさえ思う。
「木佐さん、夕飯より先に木佐さんが食べたくなりました」
「か…勝手にすれば」
身体の力を抜くとすぐさま捉えられる顎。
間近で改めて雪名の顔を見て、
あー、コイツが好きなんだなって、実感した。
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