遠慮ばっかり
□アイカギ
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「これ、」
今日作ったばかりの合鍵を、
部屋に入ってきたばかりの雪名に投げつける。
そのキャッチの仕方さえかっこいいと思ってしまったなんて、口が裂けても言えないけど。
「うわぁ、ティンクルだ」
「そこかよ」
どうやら雪名はキーホルダーを見せびらかしたいのだと思ったらしい。
鈍感と言えば鈍感だが、普通と言えば普通の反応に、怒る事もできない。
「良いなぁ…漫画のオマケっすか?俺も買おうかなぁ」
「そうじゃなくて…」
もう、何て言ったら良いんだ?
もう30だろ、器用に立ち回れよ!
「それ…お前の」
「え?だってこれ木佐さんの鍵っしょ?」
「あー、鈍いな、合鍵だよ!」
結局一番みっともなくて不器用なんじゃないかと思うけど、逆切れ的に事実を伝える。
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