遠慮ばっかり

□アイカギ
3ページ/6ページ

「これ、」


今日作ったばかりの合鍵を、
部屋に入ってきたばかりの雪名に投げつける。

そのキャッチの仕方さえかっこいいと思ってしまったなんて、口が裂けても言えないけど。


「うわぁ、ティンクルだ」
「そこかよ」


どうやら雪名はキーホルダーを見せびらかしたいのだと思ったらしい。
鈍感と言えば鈍感だが、普通と言えば普通の反応に、怒る事もできない。


「良いなぁ…漫画のオマケっすか?俺も買おうかなぁ」
「そうじゃなくて…」


もう、何て言ったら良いんだ?
もう30だろ、器用に立ち回れよ!


「それ…お前の」
「え?だってこれ木佐さんの鍵っしょ?」
「あー、鈍いな、合鍵だよ!」


結局一番みっともなくて不器用なんじゃないかと思うけど、逆切れ的に事実を伝える。


.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ