小説『ー罪ー』

□ー罪ーリストカット事件ーkiller S cut.2
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授業が終わりみんなが帰る中、僕と彼女は残っていた。

「帰らないの?」

僕が聞く。

「あなたは?」

「僕もまだ居たかったんだ」

「そう・・・」

会話なんて続かない。
続く訳がない。
僕も彼女も無駄なことはしない。
日常の会話なんてしなくても別に死なないし、苦しむこともない。

「麻野咲春」

山本が呼んだ。

「はい・・・」

「なんだ・・・お前はさっさと帰れ」

山本が僕に言った。
ここに殺せる物があったら殺してやるのに・・・まぁ、優等生の僕はそんなことしないけど。
だから、冷静に・・・。

「はい、わかりました」

と返事を返す。
目の前には、山本の姿・・・。
山本は笑みを浮かべていた。

「ちょっと待ってて」

彼女が言った。

「あぁ、いいよ」

僕はなんとなく待つことにした。
教室の外へ出た。
そして、中を見る。
彼女と山本はなにか離しているようだ・・・声が聞こえる。
僕は、聞く。

「先生・・・用件とはなんでしょうか?」

「麻野咲春、君が犯人ではないのかね?」

「・・・どうしてです?」

「君は、事件現場に居たそうじゃないか・・・それも毎回」

「そうですね、確かに居ました。でも私はやってないので、これ以上話すことがないのなら失礼します」

「待ちたまえ!」

「手・・・離してもらえませんか?・・・セクハラで訴えますよ?」

「・・・帰りたまえ」

「はい・・・失礼します」

「くだらない話を聞かされて、君も災難だったね」

「あら、あなたは私を犯人にしないのね?」

「突然何を言い出すかと思ったらキラーズカットの犯人が君だっていうから笑えたよ。もしそうなら・・・君は最高の死神だよ」

彼女は、犯人ではない。
それは、確実・・・彼女は、僕と同じだから・・・。
人を殺しても無益だということを知っているから・・・。

彼女と下校した。
話すことはなかった・・・。
今日は、無い事もなく終わる。
今日もつまらない日をありがとうと言いたくなる。
もっと、楽しめる日にしてくれないだろうか。
つまらない日ばかりだ。
キラーズカットはまだ、続いていた。
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