□日はまた昇る4
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朝日が照らす回廊を一人で歩いていく。
まだ早朝なので見かける人は誰もいない。
欠伸を噛み締めながらダルイは今日も雷影の執務室に向かった。
珍しく早めに床に付いた為か、眠気はそれ程酷くはない。
やはりカルイの助けを借りたのは正解だったようだ。
彼女がこちらの雑務を手伝うようになって二日が経つ。
そして相方が任務に出掛けてから九日目になった。
それでもまだシーは帰って来ない。
胸の奥には微かな不安が燻ぶる煙のように立ち上がり始めていた。
━流石にちっと心配になってくるな。
やはり何かあったのか。
相方からは何の便りも送られていない。
それが余計にダルイの不安を煽っていた。
━一体どうしたってんだ、シー・・・。
否、知らせがないと言う事はむしろ順調に任務が進んでいるという事だってある。
自分の考え過ぎなのかも知れない。
あるいは偶々任務期間が延びているだけなのかも知れない。
真相は全く分からなかった。

「・・・ざいまーす。」

執務室の扉を開けて足を踏み入れる。
そしてハタリと立ち止まった。
━あっれ。
ぐるりと執務室を見回す。
部屋一面に書類が散らばっていた。
重要文書が山積みになっている机の周りのあちこちに書類が投げ出されていた。
くしゃくしゃに丸めた紙やペンも散乱している。
机の傍に置かれた屑箱には丸めた紙が幾つも詰まっていた。
誰が散らかしたのかは言うまでもなく分かる。
この部屋の主である雷影だ。
━そういやマブイさん、休みだったな。
雷影の秘書でもある彼女がいないとすぐにこの部屋は散らかってしまう。
生憎今日はマブイがいない。
自分が片付けるしかなさそうだ。
仕方なく部屋に入って行き、机の上から片付け始める。
と、背後から声がした。

「あ、ダルイ隊長。」

振り返るとカルイが目蓋を擦りながら立っているのが目に入った。
早朝に起きるのにまだ慣れていないらしい。
眠たそうな顔をしている。
いきなり慣れない仕事をしているのだから当たり前だった。
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