□日はまた昇る3
1ページ/2ページ

今日もあの人はいないらしい。
偶々食堂で一人で座っているダルイの姿を認め、カルイは咄嗟にそう悟った。
しばらくどうしようか考え、ある事を思い立つ。
後ろからこっそり近付き、彼が座っている椅子の後ろに立った。
そして。

━━━━バッ

「だーれだ。」
「おっわっ!」

両手を背後から伸ばしてダルイの両目を覆う。
身長は彼の方が断トツ高いのだけれど、今は座っている為丁度カルイの手が彼の顔に届く高さにあった。
効果はテキメン。
期待通り相手は驚いた反応を見せ、慌ててこちらを振り向く。
満足そうにカルイは笑みを浮かべた。
その表情に「参った」とでも言うように彼が苦笑を漏らす。

「カルイ、お前かよ。脅かすなって。」
「背後がら空きにしてる隊長が悪いんですよ。」
「お前なー。ちったあ先輩を労われっての。」

大きな褐色の手がわしわしとこちらの頭を掴んできた。
ふざけて小さく悲鳴を上げて笑ってみせる。
それに釣られるようにダルイも小さく微笑んだ。

「向かい側座っていいですか?」
「珍しいじゃねーの。オモイやサムイさんは?」
「オモイは今ビー様と特訓中。サムイ隊長は仕事やってます。ウチは今日は暇な日なんで。」
「成程な。」

さっとテーブルの向かい側に回って椅子に座る。
両肘を突いて両手で顎を支えると、じっと目の前に座っている先輩を眺めた。
ダルイは普段と同じように気怠けに背凭れに体を預けていた。
何となくいつもよりやさぐれている気がする。
何が原因なのかは自分にも分かった。

「シーさんいないから仕事大変なんじゃないですか?」
「あー・・・、分かったか?」
「いつも以上にだるそうにしてるんで。」
「ッハハ、ひでー。えらい直球だな。」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ