□日はまた昇る2
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廊下を歩きながら、部屋のドアの傍に取り付けられたプレートに目を配っていく。
文書室、事務室を通り抜けてさらに奥へ向かった。
黒い床が続く廊下はずっと先まで続いていた。
改めて自分達の拠点であるこの建物の大きさに圧巻される。
思わず小さく息をついた。
━広過ぎんだろ、ここ。
毎回ここへ来る度にオモイは迷ってしまうのではないかという思いが湧いた。
雷影の執務室や会議室が入っているこの塔は他にも色々部屋がある。
自分が今探している部屋は少し入り組んだ場所にある為、見つけるのに毎回苦労していた。
頭の中で記憶と照らし合わせながら廊下を進んで行く。

やがてとある入口に辿り着いた。
プレートに「医務室」と書いてある。
━やっと見つけた。
ようやく目的の部屋を見つけ、ドアの取っ手に手を掛けた。
そっと開けて中を覗き込む。
━あれ。
医務室には二人の医療忍者が立ち回って作業をしていた。
が、その中に見知った顔はいない。
どうやら彼はここにはいないようだ。
医療忍の一人がこちらに気付いて声を掛けてきた。

「おや、オモイか。どっか怪我でもしたか?」
「あー、大したもんじゃないんスけど。絆創膏貰いに来ただけなんで。」
「掠ったのか?ついでだから見してみろ。」

医務室に入り、示されたスツールに腰掛けた。
袖をまくって腕を見せると、じんわりと血が滲んだ擦り傷が露になった。

「一応簡単な処置だけしておくな。これ位ならすぐ治るだろ。」
「ん、頼みます。」

痛みはそこまでないものの、実際に傷を見るとやはり痛そうだ。
ビーと特訓で木刀の打ち合いをしていた時に吹っ飛ばされ、腕で受け身を取ったら地面で掠ってしまったのだ。
今度からは受け身の仕方にも注意しよう。
そう思いながら医療忍が手当てをしている様子を眺めた。
やがて口を開く。

「シーさん、今日はここにいないんスね。」
「あー、そうだなぁ。あの人なら今長期任務に向かってるよ。」
「いつからっスか?」
「うーん・・・、三日前位からかな。今回は配達任務みたいだ。」
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