□エンドレス
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「お前さ、自分の体大事にしろ。」
「してるつもりなんだけど・・・。」
「馬鹿。そう思ってるなら立てなくなるまで男と寝るなよ。」

容赦なく指摘すると彼は「ごめん」と呟いた。
申し訳なさそうに俯く彼はいつもより小さく見えた。
黒髪が顔に掛かり、それが余計に端整な顔を際立たせる。
白い体を剥き出しにしたままサイはベッドで起き上がった状態になっていた。
すっかり疲れ切ってしまっているらしく、人形のような顔はどこかやつれていた。
恐らく昨夜も情事に身を削っていたのだろう。
そう思うと胸がチクチクと痛んだ。

何となく彼が性癖が悪いという事は知っていた。
今日だけでなく窓から彼の部屋に入ると、死んだようにベッドで気を失っている彼の体が目に飛び込んでくる事が度々あった。
一番最初にその光景を目の当たりにした時は酷く取り乱してしまい、必死に体を揺すって彼の名前を呼んだ。
程無くして彼が目を覚ましたので大した事はなかったと分かったのだが。
それでも体に何も服を纏っていない状態で気絶しているというのはあまりにも不自然で、何があったのかと何度も彼に問い詰めた。
初めはひたすら「何でもない、大丈夫」と言って笑っていたが、やがてサイも諦めたらしい。
気まり悪そうに俯いて小さくこうこぼした。

『寝てたんだ、暗部の先輩と。』

その言葉を聞いた途端、一気に顔から血の気が引いてしまった。
何たって彼は大人の、よりによって先輩である男に抱かれていたと打ち明けたのだから。
こちらの表情に、サイは不思議そうに首をかしげてオモイを見ていた。
そういう行為がこの少年にとっては当たり前になってしまっているらしい。
それが無性に悲しく思えた。

「人肌がね、恋しいんだ。そのせいなのかも。」

あはは、と乾いた笑みを浮かべて彼が掛け布団を自分の体に引き寄せる。
剥き出しになった背中は広いもののゴツゴツとした背骨が薄い肌から盛り上がり、かなり痩せて見えた。
が、彼は暗部の忍だ。
一体この細い体のどこにそんな力があるのかと思える程力も強いし、意外と筋肉もしっかり付いている。
自分からすれば同い年の男子だという認識しかできない体だが、それに性的魅力を感じる人もいるらしい。
同性同士の恋愛はこちらの里でもよくある事だった(自分の上司がそうだ)から何も驚きはしなかった。
が、サイが幼い頃からそういう事に関わっていた事を知った時は流石に言葉が出て来なかった。

暗部の先輩に無理やり犯されて以来、サイの体は快楽を深く求めるようになってしまった。
そのせいで今も彼はこうして誰かと肌を合わせ、必死に何かを求めて縋り付いているのだ。
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