□日はまた昇る9.5
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懐かしい感覚がする。
頭の中で映像が再生されてはまた新たな映像が流れ込んで来る。
まだ自分達が中忍位だった頃の里。
まだ若かった頃の自分達。
何故か分からないが自分は夢を見ているらしい。
懐かしい記憶が頭を過ぎり、通り過ぎて行く。

+ + +

「あっれ、お前どうしたの。」

玄関を開けた瞬間目に飛び込んできたのは紛れもない親友の顔だった。
淡い金髪が月明かりに照らされている。
暗闇の中にボンヤリと白い人形のような顔が浮かび上がっていた。
里から支給された忍服ではなく珍しく真っ黒な着流しと言う格好だ。
咄嗟に浮かんだのは「よく似合ってるな」と言う呑気な感想だった。
金髪に白い肌をした彼は本当にそれがよく似合っていたからだ。
が、すぐにそれが場違いな考えだと気付く。
どうしてこちらの家が分かったのかとか、何でこんな真夜中に訪ねて来たのかとか、聞きたい事は山程あるものの。
相手の青白い顔を見た瞬間にそんな疑問は一気に吹き飛んでしまった。
いつになく白い肌の血色が悪い。
具合でも悪いのかも知れない。
思わず声を掛ける。

「大丈夫かよ。顔色凄ぇ悪い・・・」

そう言って手を伸ばし掛けた途端。
ぐらり。
ゆっくりと相手の華奢な体が揺らぎ、そのままこちらの方に倒れ込んできた。

「お、っわ。」

慌ててその細い体を受け止める。
そのまま腕の中にすっぽりと彼の体が収まった。
女子のような軽さに思わず目を見開く。
こんなに彼は軽かっただろうか。
そもそもどうして倒れ込んできたのだろう。
受け止めたか細い体はぴくりとも動かない。
だらんと腕を垂らしたままこちらに身を預ける格好になっていた。
訳が分からず、戸惑って肌の色が異なるこの親友に呼び掛けた。

「おい、シー?大丈夫か、しっかりしろって!」

何度も名前を呼んで呼び掛けるも応答は一切ない。
何かがあった事は確かだ。
顔を覗き込むと顔色はますます悪くなっていた。
このままだとまずい。
迷う事なく急いでシーの体を抱き上げ、家へ運んだ。

自分が使っているベッドにシーを寝かせた。
自分と同い年の筈だと言うのに、その体つきはとても華奢だ。
すぐにでも折れてしまいそうな繊細な肢体。
白い肌は嫌に青白かった。
まずは額に手を当ててみる。
熱はないらしい。
だとしたら一体何なのか。
おもむろに腕に触れた途端、ビクリと彼が体を強張らせた。

「・・っぅ・・・っ!」

痛みに耐えるかのように顔を歪ませるその様子に違和感を覚えた。
おかしい。
咄嗟に腕を引き寄せて持ち上げる。
抵抗しようとシーが腕を動かすも、それは無駄だった。
ただでさえ体格差が違うのだ。
そのまま勢い良く袖を捲くる。
目に飛び込んできた光景が信じられず、言葉を失った。
━うわ・・・。
真っ白な腕に生々しい青痣が数箇所出来ている。
しかも痛々しい程に変色していた。
何かにぶつけて出来た訳ではない事はすぐに分かった。
つまり、誰かに付けられたのだ。
でも一体誰に?
━・・・まさか、腕以外にもあんのか?
着流しの合わせ目に手を伸ばし、ゆっくりとはだけさせていく。
青白い鎖骨と胸がさらけ出される。
露わになった白い上半身を見た途端、思わず顔を歪めた。
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