□日はまた昇る7
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急げ、急げ。
早く、早く。
息を切らしながらひたすら続く暗い通路を走り抜けて行く。
剥き出しの土壁と床。
チカチカと点滅する蛍光灯。
床を蹴る度に自分達の足音が通路に反響し、扉に行き当たる度にそれを押し開けて全ての部屋の中を確かめて行った。
いない。
ここも違う。
彼はどこにいる?
壁に手を突いて呼吸を整えながらダルイは青に尋ねた。

「青さん、シーの居場所は?」
「今探る。少し待ってくれ。」

素早く彼が印を結び、目を閉じて意識を集中させる。
やがて彼が答えた。

「ここに囚われている事は間違いない。だが連中のチャクラが邪魔だ・・・。チャクラの数が多過ぎて特定できない。」

一緒に付いてきた長十郎が呟く。

「・・・無事かどうかも分からないって事ですか。」
「ああ、そういう事になる。」
「敵もだるい事してくれますね。・・・クソッ!」

悪態をついてダルイは歯を食い縛った。
苦々しさに顔が歪む。
宥めるように青がこちらの肩に手を置いた。

「今は彼が生きている事を祈るしかない。急いで見つけ出すぞ。」

再び駆け出しさらに奥へ進んで行く。
心臓がドクドクと早鐘を打っていた。
最悪の事態を想像してしまいそうになる度に自分を叱咤し、考えを打ち消す。
恐れる暇があるなら早く探して救い出さなければ。
━どこにいるんだよ・・・!
我武者羅に駆け抜けて行く。
目の前に敵忍が飛び出して来るのを鉈で力任せになぎ倒した。
ビシャッと赤黒い返り血を浴びたものの、それすら気にならなかった。
今はそんな事はどうだっていい。
彼を助け出さなければ。
たった一人の、かけがえのない自分の相方。
あいつがいなければ俺はどうすればいい?

再び新たな敵忍が現れた。
それも数人だ。
ああ畜生。
舌打ちをして印を結ぼうとする。
が、長十郎がヒラメカレイを構えて前に立った。

「ここは僕がやります!」

チャクラを大量に流し込んだ巨大な刀を思い切り彼が振りかざす。
あっという間に敵が薙ぎ倒された。
思わず口走った。

「・・すげーな。」
「いえ、これくらいはまだまだです!そんな事より早くあなたの相方を探さないと。」

小さく笑い返しながらも長十郎が呟いた。

目の前に新たな扉が見えてきた。
勢い余ってぶつかりそうになるのを急停止して防ぐ。
ザザザッと音を立ててサンダルが地面を滑った。
扉の前で立ち止まり、息を弾ませてそれを見つめた。
━ひょっとすっと・・・。
直感が働く。
『この部屋かも知れない。』
何かを伝える信号のように頭がそう訴えている。
自分の勘が正しいのかは分からない。
が、今はそれを信じる他に道はなかった。
青に目配せすると彼も頷き返した。
長十郎は緊張した面持ちで刀を構えている。
とにかく進むしかない。
震える手で取っ手を掴み、勢い良く扉を開けた。
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