□日はまた昇る5
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窓の外に広がる空は澄んだように青い。
入道雲のように大きく膨らんだ雲が白く映えていた。
普段ならこう思う。
珍しく晴れたのか。
何て綺麗な空なんだ、と。
よりによってこんな時に太陽は顔を見せるのだ。
憎らしい程に空は綺麗に晴れ渡っていた。

ただ一人を除くいつもの顔ぶれで回廊に集まったものの、全員が口を開かなかった。
とてもそんな気分になれるような状況ではないからだ。
カルイは窓辺の壁に寄り掛かってしゃがみ込み、両手で顔を覆っている。
それに寄り添うようにオモイが彼女の肩を抱いていた。
ぎこちないながらも彼なりに兄弟弟子を慰めようとしているらしい。
なだめるようにカルイの肩をそっと叩いている。
サムイはと言うと窓脇に背中を持たせ掛け、腕を組んで回廊の高い天井を見つめていた。
アツイも自分の姉の傍で立ち尽くし、ズボンのポケットに手を突っ込んでいる。
珍しく口をへの字にひん曲げ、不安げに顔をしかめていた。
そんな仲間達の様子を、回廊を支えている支柱に凭れながらダルイは眺めていた。
重々しい沈黙。
らしくない光景だ。
普段の賑やかさはどこにも感じられない。
『シーが行方不明になった。』
その事実が自分達の胸中に重く圧し掛かっていた。

里が捜索部隊を編成して送り出してから数日が経っている。
が、まだ何の手掛かりも見つかっていない。
念の為シーが重要文書を届けに行った霜の国にも文を出して彼の安否を尋ねてもみた。
が、帰って来た文には目ぼしい知らせは何も書かれていなかった。
霜の国の要人によると重要文書はちゃんと届けられており、無事に依頼は遂行されたらしい。
どうやら相方はしっかり役目を果たしていたようだ。
その後に敵の根城の特定に向かったのだろう。
そして、その過程で何かがあったのだ。

「シー、一体どこにいるんだろな。」
「分からないわ。最後の頼みの綱が届かないんじゃね。」
「まずはその行方眩ましてる鷹から見つけないといけないんスけどね・・・。だるい事になっちまった。」

アツイとサムイの言葉を紡ぎ、髪を乱雑に掻き分けながらダルイは呟いた。
その様子を複雑な面持ちで二人が見つめる。
オモイが顔を上げて意見を述べた。
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