□つかの間の安息※
1ページ/5ページ


「入っても構わない?」

ドアを軽くノックする音と共に、サムイの声が聞こえてきた。
ドアを振り返って静かに答える。

「いいっスよ、サムイさん。」

ドアが開き、サムイが部屋に入ってきた。
ゆっくりダルイの傍にあるベッドに目を移すと、神妙な顔で彼女は言った。

「助け出せたのね。」

ダルイはそれには答えず、ベッドに寝かされている相方に目を向けた。
ベッドで気絶したようにシーは眠っていた。
顔はガーゼや包帯に覆われている。
だらんとうなだれた白い腕には点滴のチューブが繋がれていた。
チューブの先には、点滴バッグが吊り下げられている。

「敵も酷い事をしてくれたわね。」

サムイの言葉にダルイは呟いた。

「助け出すのが遅すぎたんです。・・・行方不明になったのは、かなり前だってのに。」
「でも、こうして彼は生きてた。そうでしょ?」
「そうっスけど。・・・そんなんじゃ、意味なんてないっスよ。」

ダルイは拳を握り締めた。
爪が食い込み、血が滲んだ。

「守るって言ったのに・・・。守ってやれなかった。」

サムイは何も言わなかった。
その場に立ち尽くしたまま、黙ってこちらを見つめていた。
やがて彼女が言った。

「カルイから聞いたの。シーがあの子を守ってくれたって。」
「・・・アイツを守る為だけに、シーは」
「それ以上は、言わないで。」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ