文
□つかの間の安息※
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「入っても構わない?」
ドアを軽くノックする音と共に、サムイの声が聞こえてきた。
ドアを振り返って静かに答える。
「いいっスよ、サムイさん。」
ドアが開き、サムイが部屋に入ってきた。
ゆっくりダルイの傍にあるベッドに目を移すと、神妙な顔で彼女は言った。
「助け出せたのね。」
ダルイはそれには答えず、ベッドに寝かされている相方に目を向けた。
ベッドで気絶したようにシーは眠っていた。
顔はガーゼや包帯に覆われている。
だらんとうなだれた白い腕には点滴のチューブが繋がれていた。
チューブの先には、点滴バッグが吊り下げられている。
「敵も酷い事をしてくれたわね。」
サムイの言葉にダルイは呟いた。
「助け出すのが遅すぎたんです。・・・行方不明になったのは、かなり前だってのに。」
「でも、こうして彼は生きてた。そうでしょ?」
「そうっスけど。・・・そんなんじゃ、意味なんてないっスよ。」
ダルイは拳を握り締めた。
爪が食い込み、血が滲んだ。
「守るって言ったのに・・・。守ってやれなかった。」
サムイは何も言わなかった。
その場に立ち尽くしたまま、黙ってこちらを見つめていた。
やがて彼女が言った。
「カルイから聞いたの。シーがあの子を守ってくれたって。」
「・・・アイツを守る為だけに、シーは」
「それ以上は、言わないで。」