□僕らを紡ぐ、この時間
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※二人が若い(16か17歳くらいの設定)

ガーゼを消毒液に浸すとツンとする臭いが鼻を刺した。
目の前に座っている相手の顔にそれを押し当てる。
相手は痛みをこらえるようにぐっと口を引き結んだ。
ダルイが湿布を顔に貼ろうとすると、相手は首を振って腕でそれを阻止しようとした。
あからさまではないが小さな拒絶。
相手の反応にダルイは思わず溜息をついた。

「あー、じっとしてろって。」
「うるさい、自分でできる。」
「とにかく動くなよ。貼れねーだろ。」

口を尖らせる相手の顔はすり傷や痣ができ、酷い有様になっていた。
特に酷いのは右の頬だ。
赤黒い痣が白い肌に映えて痛々しかった。
湿布をそこに貼ると、彼は一瞬目をつぶり呻き声を漏らした。
傷に染みたようだ。

「つぅっ・・・。」
「悪い。染みちまったみてーだな。」
「・・・これくらい平気だ。」

そう言うとシーは自分の顔に濡らしたタオルを当てた。
顔にこびり付いた血を拭い取り、傷口をなるべく綺麗にする。
顔からタオルを離してそれを見た途端、彼は顔をしかめた。

「どうした?」
「血が付いた。」

ダルイの問い掛けに、シーはタオルをこちらの顔に突き付けた。
タオルには赤いしみが点々と付いている。
それを見ただけで、思わずこっちまで痛みが伝わってきたような気持ちになった。
シーはそんなダルイを見ると、フンと笑った。

「安心しろ。これくらいの出血ならまだ軽い。」

そう言うと彼は唇の端を舐めた。
口の端にも血が滲んでいた。
殴られた時に切れてしまったのだろう。
ダルイは慣れない手つきで手当てをしつつ、シーの顔をじっと眺めた。
傷だらけで所々腫れ上がっているものの、彼の顔は小綺麗な部類に入るくらい整った顔立ちをしている。
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