□浸される※
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※真っ最中なので注意。

視界がうす暗く感じる。
電気を消しているのでかろうじて部屋の家具の輪郭が見分けられた。
とは言っても元々自分の部屋はあまり物が置かれていない。
ベッドと本棚ぐらいしか家具と呼べる物はなかった。
壁に掛かった時計がカチッカチッと音を立てて針を進めていく。
窓は開け放され時々風が吹き込んできてはカーテンを揺らしていた。
尤も今はそんな事に注意を向けているどころではないのだが。

「・・・っ、っは・・・っ。」

ベッドのスプリングがギシギシと音を立てる。
荒い息遣いの中に時々自分の声が混じった。
まるで女のような声だ。
それがとにかく気恥ずかしい。
何とか声を抑えようと必死に息を詰めるものの微かな嬌声が何度も喉から上がった。

「や・・・っ、あっ・・・。」

熱い。
まるで体が自分から燃えているような気分だった。
息を切らしながらうっすら目を開けると、目の前に相方の顔があった。
エキゾチックな顔はいつもと変わらず余裕があるように見える。
目線がカチリと合い、微かにダルイが口角を上げた。

「声、出さねえの?」

思わず声を詰めてその表情を見つめる。
艶かしさすら感じさせる微笑み。
そんな顔もできるのか。
普段とは違う自分の知らない相方の一面に、シーは戸惑いを隠せなかった。
そもそも今行っている行為自体が未だに信じられない。
自分はこの男と寝ていて、彼に抱かれている。
それだけでも混乱するには十分だった。
ダルイの息遣いが伝わってきた。
おそらく自分と同じで彼も感じているのだろう。

自分の体中の肌が火照っているのがわかる。
体の中心からじわじわと、彼の体温に侵されていくような感覚だった。
熱い熱い熱い。
溶け落ちてしまうかも知れない。
時々顔から汗が流れ出て顔を伝って首筋に流れ落ちていく。
ダルイの顔が近づき、こちらの首筋の汗を舐め取った。

「んっ・・・。」

ひくりと喉を反り返らせて声を漏らした。
首は普段から自分の感じやすい部分だ。
触れられるだけでざわりとした悪寒に似た感覚に襲われる。
優れた感知能力は便利ではあるものの、逆に敏感過ぎるという弊害を起こす欠点もある。
少しの刺激でも鋭敏に反応してしまう。
と、今度はおもむろに首に歯を立てられる。

「・・・っ!」

刺激に体を強張らせ、必死に声を抑えた。
縋るようにシーツをきつく握り締める。
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