□落下、そして※
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最近よく自分達は一緒にいる。
気が付けばいつの間にか二人で並んでいるのだ。
側近という同じ役割に就いているので当たり前の事なのだが、最近何故だか頻繁にそれを意識するようになった。

同じ相手と決まって二人でいるというのは自分らしくない気がした。
元々人付き合いは得意ではない。
あまり社交的でもなく、どちらかと言えば一人の方が落ち着くタイプだ。
誰かがいると居心地が悪くなりギクシャクしてしまう。
その上、我が強く思った事をすぐ言ってしまう性格のせいで余計に仲間とは衝突しやすかった。
そのせいで下忍の頃から自分は一匹狼だった。

他の仲間とは違ってダルイは少し変わった男だった。
彼と知り合ったきっかけは下忍の編成で同じ班になった時だ。
下忍の頃のまともな友人は彼ぐらいだった気がする。
顔を合わせる度に声を掛け、特に何の意味もなく会話を交わした。
常に無表情で黙っている事が多いシーに話しかけようなどと考えるのは、恐らくこの男ぐらいだろう。
会話はとりとめもない事を二言か三言話す程度で、会話と言うにはとても短かった。
普通の人ならそんな会話はつまらないと感じるものである。
が、どういう訳か彼はシーとの会話を楽しんでいた。
普段は怠そうな顔をしている癖に、何故かシーと話す時は気さくに笑うのだ。
過去に一度「つまらなくはないのか」と尋ねてみると、いつもの怠そうな顔で彼はこう返してきた。

「いや、俺は結構楽しんでるけど。お前といると何つーか、息がしやすいから。」

相手の顔色見ながら接するのに疲れちまってさ。
お前って結構真っ白だろ?
だからだよ。

ダルイの言った「真っ白」の意味は分からなかったが、何となく自分を受け入れてくれている事は分かった。
だからシーも彼を受け入れる事にしていた。
確かに彼といると呼吸がしやすい。
これは自分達の相性がいいという事なのだろう。
巡り合わせとでも言おうか。
とにかく自分はダルイを人として好いていた。
中忍に上がっても自分達の関係は変わらなかった。
上忍になってもそれは同じだった。
側近になった今は、より一層お互いの事を知るようになっていた。

* * *

両手に大量の書類や巻物が入った箱を抱えて廊下を歩いていく。
これから書類整理に向かわなければならなかった。
ダルイは少し先に文書室に行っており、おそらくもう作業に取り掛かっているのだろう。
文書室の棚いっぱいにしまわれている途方もない量の書類を想像しただけで、気が重くなった。
文書室を見つけてドアの前で立ち止まる。
ドアは半開きになっていたので、両手が塞がっていても通り抜けられるようになっていた。
足でドアを押し開けてそのまま部屋に入って行く。
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