□共通点
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たまたま文書室を通り掛かった時、丁度ドアが開いた。
中から出てきたのは自分より一つか二つくらい年下のくの一だった。
サムイはその女の傍を通り過ぎようとした。
が、彼女が泣いているのに気付くと立ち止まった。
女はサムイに気付き、急いで顔を手で覆いその場から立ち去った。

走り去っていく女の背中を見送り、文書室のドアに目を移す。
ドアは開けっ放しになっていて、その奥には書棚の長い列が見えた。
サムイはゆっくり部屋に入っていった。

文書室の床には書類が散らばっていた。
目の前に、散らばった書類をかがんでせっせと集めている金髪頭がいた。
後ろ姿でも誰だかすぐにわかった。
何も言わずにサムイもかがみ込むと、一緒に書類を拾い集めにかかる。

「サムイだな。」

振り向かずに書類を集めながらシーが口を開いた。

「わかったの?」
「感知タイプならすぐわかる。人によってチャクラの質が違うからな。」

淡々と答えるシーに、サムイは手を止めて彼を見た。
彼は黙々と書類を集めている。
さっきの女と何かあったのか聞きたかったが、今は何も言わないのが一番良いように思えた。

書類を集め終えると、サムイはシーに書類の束を渡した。

「助かった。」

無表情なシーの言葉に、なるべくクールな笑顔で答えた。

「すごいことになってたわね。何かあった?」

シーは相変わらず無表情だったが、どこか曇った顔をしていた。
何も言わずにサムイに折り畳んだ紙を差し出す。
サムイはシーの顔と差し出された紙とを交互に見た。
シーに視線を戻すと、彼はサムイから目をそらして言った。

「とりあえず見てくれ。」

シーの手から紙を受け取ると、それを開いた。
誰かからの手紙のようだ。
ひょっとすると、あの女が宛てたものなのかもしれない。
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