□とある友人との会話※
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自分がシーと共に雷影の側近という役目についてから、もうそれなりに時間が経っている。
あれ以来、自分は彼といることが増えた。
雑用を一緒にこなしたり、会議のために意見を交換し合ったりと役割上の付き合いはもちろんだった。
が、それ以外の時-例えば任務がなく、これといった雑用もないような時がそうだ-でも、よく彼といるようになった。

かといって特に二人で何かをするわけでもない。
ただ二言か三言言葉を交わすぐらいだ。
周りからすれば奇妙な光景に見えたことだろう。

元々シーはあまり誰かと親しげに話すような人間ではなかったし、自分も大人数の仲間と会話することが多かった。
シーのようにいつも一人で行動するタイプの人間と話をすることはあまりなかった。
それでも、彼がたった一人でいるのを見かけたりすると、無意識に声を掛けたくなる。
自分でも何故だかわからないが、放っておけなかった。
それと同時に、彼に惹かれてもいた。

自分の思ったことは包み隠さず伝えるべきだというのがシーの考え方だった。
あまりにもハッキリと物を言うため、時々それで仲間に誤解されてしまうこともよくある。
シー自身はそれで思い悩むような素振りは見せず、全然気にしていないように見えた。

最初は自分と全く正反対な彼の考え方に驚かされ、純粋にその潔さに惹かれていた。
自分の気持ちを誤魔化さずにありのままを生きている彼が、自分にはとても綺麗で真っ白な存在に見えた。
が、そんな彼の振る舞いの中に不器用で素直になれない一面を垣間見てからは、前よりも彼のことを気に掛けるようになった。
孤立しやすい彼が、何となく心配だった。



* * *

「なー、お前ってさ。シーのことどう思ってるわけよ。」

アツイがいきなり切り出した。
ダルイは口に持っていこうとしていたコップを片手で持ち上げたまま固まった。
アツイは肘を突いてこちらを見つめてくる。
彼の目はただ純粋に疑問を投げかけていた。

「どうって・・・。」
「そのまんまの意味だよ。あいつのこと、ダルイはどう思ってんの?」
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