□温もり※
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ベッドが軋む音で目が覚めた。
目の前に広がる天井をボンヤリと眺める。
自分が暮らす部屋とは少し違うそれ。
微かに違和感を覚えたが、すぐにここが同僚の部屋だということを思い出した。
続いてここまでに至った記憶が戻ってくる。
確か昨日は任務帰りでそのまま相方の部屋に立ち寄って。
酒を飲み交わして。
その後は。

━酔った勢いで思い切り抱いちまったんだっけか。

ゆっくり上体を起こすと自分の隣のスペースに目をやった。
隣では毛布を肩まで引っ張り上げてぐっすりと眠り込んでいる相方が横たわっている。
金色の髪が窓から差し込む光に当たり、明るい色に反射していた。
顔をこちらに向けていたのでダルイは彼の寝顔をよく見ることができた。
目を閉じて深い呼吸をしながらシーは穏やかに眠っている。
こうして改めてよく見ると彼は本当に綺麗な顔立ちをしていた。
里中の女が彼に惹かれるのも納得がいく。
それだけシーは整った顔をしていたのだ。
今までに何度か告白されたこともあり、ダルイ自身もその現場に居合わせたことがあった。
が、当の本人はそういう色恋沙汰には無関心のようで、彼女達の告白を全て断り今まで何人もの女達を泣かせていた。

遠方に任務で出向いた時も、中性的な顔立ちと色白で細身な(ただし筋肉はちゃんと付いている)体型のせいか黙っているとよく性別を間違えられた。
本人は嫌でたまらなかったようで、それ以来なるべく自分から話すように努め、自分が男だということを強調するようにしていた。
見た目に反して、シーは意外と低い声をしておりその声は独特な響きを持っていたのだ。

そっとシーの髪に触れる。
髪質が硬いダルイと違って、彼の髪はサラサラとしており、簡単に指が通る。
指に触れる髪の感触が心地よかった。
しばらくそうやって彼の髪に指を滑らせていると、急にシーが体をもぞもぞと身じろぎさせた。
起こしたか。
反射的に手を引っ込める。
こちらの心配を余所に彼は肩まで掛けていた毛布を少しずり下げ、肩を出した。
再び動かなくなると規則的な寝息が聞こえてきた。
おそらく暑くなったのだろう。
思わず小さく溜息をついて、ダルイは相方の寝顔を見つめた。
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