□すれ違い
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ぼんやりと青空を見上げた。
空は透き通るように青い。
この地帯では滅多に晴れる事などないというのに。
それともこれは幻影だろうか。
ああ、右脚が痛い。
焼けるような痛みが太股から全身に伝わってくる。
血と共にチャクラも同時に流れ出ているのがわかった。
脂汗が額から流れ落ちていく。
時々吹き付けてくる風が、汗をかいているせいか嫌に冷たく感じた。

どこからともなく誰かが駆けてくる足音が聞こえてきた。
首を回して音がする方に顔を向ける。
目に飛び込んできたのは、見慣れた金髪頭だった。
軽く息を弾ませながら、相方がこちらに向かって近づいてくる。

「ここにいたのか。」

ダルイの傍に来たシーは淡々とした口調でそう言うと、膝をついた。
無表情を浮かべた端整な顔は、すり傷まみれだった。
苦痛に耐えながら何とか大丈夫だと伝えようと口を開く。

「よお、生きてたんだな。」

こちらの言葉に彼は眉間にシワを寄せて答えた。

「お前な・・・、冗談は後にしておけ。どこをやられた?」
「右脚の・・・太股だ。結構深い。あと痛ぇ・・・。」
「・・・わかった。今治療するから少し黙ってろ。」

シーがこちらの右脚の傷を探り当て、傷に両手をかざした。
傷口からチャクラが流れ込んでくるのが感じられた。
何とも言えない感覚に思わず目を閉じて息をつく。
流れ込んでくるチャクラのおかげでだんだん傷の痛みが引いていくのがわかった。
さっきまで胸の内にあった緊張や切迫感が、ゆっくりと安堵感に変わっていった。

「・・・悪い。」

安堵から出た呟きに、彼は相変わらず無表情で答える。

「こういうのにはもう慣れてる。気にするな。」
「・・・ああ。ていうか、お前も傷だらけだろ?チャクラ使って平気なのかよ・・・。」
「俺のはほんのかすり傷だ。お前の方がどう見ても重傷だな。いいからもう話すな。集中できん。」

ぼんやりと彼の横顔を見た。
真剣な表情でダルイの脚に手をかざしている彼の顔色は少し悪いように感じられた。
軽く肩で息をしており、かなりの体力を消耗しているらしい。
自分と同じくらい疲労感を抱えているのだろう。
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