文
□明け暮れ
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次々に書類の分厚い束が運ばれてくる。
その一枚一枚に目を通し、ペンで書き込んでは隣にいるマブイに渡していく。
修正しなければいけない所もきちんと直し、何十枚もの書類を仕上げていく。
このような作業をもう四日も続けていた。
ここの多忙さにはすっかり慣れたものの、やはり身体的にも精神的にも辛いものがある。
新たに運ばれてきた書類の山が目の前の机の大部分を陣取っていた。
原因は他でもない自分にある。
任務で遠方を飛び回っている間にこれだけの量を溜め込んでしまっていた。
いくら整理してもなかなか減らない書類にいい加減ゲンナリしてくる。
が、ここでへたばる訳にもいかない。
ちらっと横を見ると、もの凄い速さで次々に書類をチェックし束にしてまとめているマブイの姿が見えた。
数時間前からひたすら二人で働いているのだが、忌々しい書類の山は相変わらずかさが変わらなかった。
目の疲れを感じて目頭を押さえ、思わず溜息を漏らした。
「さすがに四日連続はハードだったわね・・・。少し休んだらどう?」
マブイが手を動かしながら声を掛けてくる。
こちらの身を心配しているのだろう。
気持ちとしてはありがたかったが、こんな状況ではとても休む事はできなかった。
疲れているのは彼女も同じに違いない。
が、まだ休めない。
自分達がやらなければいつまでたっても終わらないからだ。
「そうしたいのは山々だがな。役割上無理だ。」
「・・・確かにね。書類整理は私達の仕事だもの。雷影様は私達よりもずっとお忙しいだろうし。」
マブイが苦笑して返した。
うんざりだ、と言うようにもう一度溜息をついてシーは書類に目を落とす。
脳裏に雷影の弟の姿が浮かび、彼ならこんな仕事とは無関係なのだろう、と羨ましくなった。
そんな事を考える自分の思考にさらに腹が立ち、仕事に意識を集中させる事にする。
「とにかく、今はこの書類共を何とかするぞ。」
「ええ、そうしましょう。・・・いつになったら終わるのかしら。」
二人そろって溜息をついた。