□日はまた昇る9
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急に視界が明るくなった。
蛍光灯の眩しい光が容赦なく目に突き刺さる。
思わず目を細めて天井を見つめた。

━違う、違、う・・・。

気が付けば頭の中でうわ言のように何度もそう呟いていた。
目元が濡れている。
絶えず頬を伝い落ちていく物。
これは涙か。
何故自分は泣いている?

「良かった、目が覚めたのか。」

聞き覚えのある声がした。
━誰だ。
息を弾ませながら目を瞬く。
誰かが自分を見下ろしている。
何とか目を見張るもののなかなか焦点が合わない。
顔の輪郭がぼやけているせいで相手が誰なのか分からなかった。
目覚めたばかりの為かチャクラを感知する事も出来ない。
チャクラが分からないのだ。
何も感じない。
頭が麻痺しているような気分だった。
初めての感覚に戸惑わずにはいられなかった。
こんな感覚を自分は知らない。
チャクラを感じないなんて。

微かに身じろぐと背中に柔らかいシーツの感触を感じた。
どうやら自分は寝かされているらしい。
━どうしてここにいる・・・?
まだ意識がボンヤリしていた。
首を捻ってみると、すぐ傍に幾つもの医療器機が設置されているのが目に飛び込んできた。
それぞれの機械からは何本ものチューブが伸びている。
目で辿って行くと、それは自分の腕に繋がっていた。
白い腕に生々しい針が突き刺してあり、その上からガーゼが貼られている。
ドクン、と心臓が鳴った。
微かに体が震え始める。
これは一体?
自分は何をされている?

「俺の声が聞こえるか?」

再び声が聞こえ、目の前の男性がこちらの腕に触れた。
途端にざわりとした感覚が体を駆け巡る。
何をする気だ、この腕は。
ここはどこだ。
自分は一体何をされた?

━・・――――ドクン

「・・・ぁ・・・っ。」

フラッシュバック。
脳裏を映像が過る。
暗い部屋。
ベッド。
男の声。
体を這い回る手。
手術室。
注射器。
点滴の針。
チューブ。
白い壁とタイルの床。
次々と場面が切り替わっていく。
一挙に記憶が押し寄せてくる。

━・・―――――ッッ!!
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