□日はまた昇る8
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そんな体質で望まない相手に望まない行為を強要されれば。
━・・・「辛い」なんて言葉じゃ済まねーよな。
感じたくもないチャクラと無理やり交わされる事がどういう事なのか、さすがの自分でも想像出来た。
連中は容赦なく彼の体に自分達のチャクラを覚え込ませたのだろう。
恐らくそれは今でも確実にこの男を侵している。
体が、心が生々しい程にその感覚を覚えている筈だ。
嫌だったに違いない。
苦しかったに違いない。
そんな中で彼はひたすらダルイの名を呼び続けて。
ひたすら待ち続けて。
手術室で発見された時のシーの姿が再び脳裏に浮かび上がった。
どんなに振り払おうとしても、忘れようとしても頭に焼き付いた痛ましい記憶は離れてくれない。
痣まみれの白い体。
おびただしい注射の痕。
体中にこびり付いた血と白濁。
精液と薬品の匂い。
━・・・―――――ッ。
助け出すのが遅すぎたのだ。
彼が行方不明になったのはかなり前だったと言うのに。
助け出せてもそれでは何の意味もない。
どんなに辛かっただろう。
どれだけ彼はあの場所で待ち続けたのだろう。
目頭が熱くなり、喉がギュッと内側から締め付けられるような感覚がした。
掛け布団が掛けられたシーの腹に静かに顔を埋める。
シーツ越しに薄くなった腹がゆっくり上下するのが伝わって来た。
それだけでも十分だった。
彼は生きている。
ここにちゃんといるのだ。

「・・・ごめん、な。」

無意識に再びそう呟いていた。
もう何度目になるかも分からない謝罪の言葉だった。
ダルイも分かってはいる。
自分一人のせいではないと言う事。
謝っても相方の傷は消えないと言う事。
それでも自分を責めずにはいられなかった。
━お前は雷影様への忠誠を、最後まで曲げないで頑張ったんだな・・・。
ボロボロに痛め付けられながらも、彼は自分の信念を貫き通したのだ。
全てをその小さな肩に抱え込んで。
その行為自体が彼の強さを物語っているように思えた。
能力的な強さではなく、精神的な強さを。
それは自分にはない強さでもあった。
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