□日はまた昇る6
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巻物を指で示しながら彼が言った。

「随分分かりやすくまとめられていた。彼は本当によくやったよ。お陰で今度こそ奴らを仕留める事が出来るかも知れない。」
「青さん達がこれを見つけてなかったら、場所の特定すらできませんでしたよ。」
「運も実力の内だ。彼は本当に運が良かった。」

微かに微笑んでみせるとすぐに青は真剣な表情に戻った。
腕を組んで封印筒に視線を落とす。

「こいつらの前科を知っているか?」
「この集団のって事スか。・・・ぶっちゃけあんまり知りませんね。」
「実を言えばかなり重い罪を過去に犯している。全く無関係の一般人を大勢モルモットとして監禁していた。沢山の犠牲が出た。」
「・・・ひょっとして、忍もそん中に入ってるんですか。」
「ああ。大半は捕虜になった我々の部下達だった。」

ハッとして青を見つめた。
捕虜。
今のシーがまさにそんな状況ではないか。
こちらの考えを汲み取ったらしく彼が頷き返す。

「私が恐れているのはそこだ。出来ればそんな事はないと願いたい。が、これだけ時間が経ってしまった。」
「・・・可能性は否定出来ないって事ですね。」
「ああ。・・・最悪の事態も考えておく必要がある。」

最悪の事態。
ずしりと青の言葉が胸に突き刺さった。
彼の言う事は尤もだ。
捕虜ならいつ何をされてもおかしくない。
もしかするともう殺されている可能性だってある。
それでも。
シーは雲の忍だ。
彼の帰る場所はここにある。
ぎり、と拳を握り締めてダルイは言った。

「・・・それでも助けに行きますよ。例え手遅れになっても、遺体だけでも絶対に取り返す。何が何でも連れて帰ります。」

ダルイの言葉に青が頷く。
青自身もそれを願っているのだろう。
何となく彼が息子を想う父親のようにも思え、フッと笑みをこぼした。
相方も良い上司に恵まれたものだ。
他里に生まれていても繋がっているものは沢山ある。
国を越えて。世代を越えて。
出会いとはそういうものなのかも知れない。
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