□明星※
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気がつけば部屋はぼんやりと明るさが増していた。
覚めたばかりの目をパチパチと瞬かせる。
隣に暖かいチャクラを感じた。
横に顔を逸らせば、相方のガタイのいい体が横たわっているのが見えた。
顔の半分が白髪に隠れているせいで、こちらからだと彼の表情が見えなかった。
羽織った着流しがだらしなく崩れている。

昨夜の事を思い出し、思わず体中が熱くなった。
夢中で快楽に浸り、最終的には二人で果てた。
おかげでまだ体が重い。
ダルイは負担が掛からないよう手加減してくれたらしく、体はどこも痛まなかった。
こういうところは、意外とよく気を遣ってくれる。
普段からだるそうにしている彼からはあまり想像できない一面だった。

自分が彼のそんな一面を知っているのは、長年ずっと一緒にいたからでもある。
友人だった頃からシーはダルイの隠れた一面に気付いていた。
面倒くさがりはするが任務は毎回しっかりこなすし、意外と気配りも上手い。
面倒見も良く、後輩にも懐かれる。
何より、彼の自由気ままな性格は何でも包み込む寛大さも持ち合わせていた。
そんな訳で彼を慕う仲間も多い。

が、それ以外にも彼はどこか繊細なところもあった。
彼がまだ色んな女と付き合っていた頃の話だ。
その頃はまだ自分達は友人同士だった。
毎回誰かと別れる度に、彼は自分を部屋まで訪ねてきた。
最初こそは驚いて戸惑ったものの、慣れた頃には何も言わずに彼を部屋に招き入れるようになった。
ダルイはそこで何をするでもなく、ただぼんやりと床に座り込んでいた。
自分は自分で何事もなかったようにダルイと接した。
茶を入れて運び、彼と同じように床に座って黙って彼が話すのを待った。
何があった、と聞くよりはこうする方が彼には話しやすいらしい。
そうしてダルイは少しずつ話し出すのだ。
そして、決まって最後には必ずこう言った。

『何でこうなったんだろな。俺のせいって奴か?』

そう言う時の彼の表情は酷く虚ろだった。
普段の奔放さからは掛け離れたその表情を、自分は何度見てきた事か。
それだけ彼は他人の事に敏感で、繊細で、傷付きやすかった。
恐らく自分以外は誰もこの事を知らないに違いない。
長年付き合いのあるサムイやアツイですら知らないと思う。
どういう訳か、ダルイは自分にはよく本心をこぼした。
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