企画用

□バレンタインデー
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今日はバレンタインデー。

朝、サッカーの朝練習が終わって下駄箱を開けると3個。引出の中に4個。さらに、手渡しで3個貰った。

朝のうちに収穫は10。男子たちの目線が痛い。

俺は鬼道財閥の息子。そして日本一をとったサッカー部の司令塔。

だから、恋に恋した女子が俺にチョコをくれるんだろう。俺の、肩書が好きだから。

ふう、と溜息をついて席に座った。











「鬼道くん!あの、これ…」

「ああ、ありがとう」


何度目だろう、この会話。

作り笑顔でチョコを受け取り(そうしなければ春奈が怒る)バックにチョコを入れようとしてもう入らないことに気が付く。

チョコは嬉しい。

だが、だが!まさか放課後までにこんなにチョコが増えるとは思わなかった。

もう詰め込めないチョコを見つめていれば、後ろに気配を感じた。


「……豪炎寺…」

「すごいチョコの量だな」

「お前もだろう」

「まあな」


紙袋をかかげ、豪炎寺が肩をすくめる。

見た感じ、俺とチョコの量はさほど変わらない。

正直に言えば、豪炎寺の方が多いが。


「鬼道、男子からチョコもらったか?」

「ああ。数個もらったが?」

「そうか。やっぱりな……」


難しそうにそう呟く豪炎寺に首をかしげながら、俺ははっとなって鞄の中を漁った。

確か、奥の方にあったはず…、つぶれてないといいが。


「ご、うえんじ!」

「なんだ?」

「これ、昨日作ってきたんだ。豪炎寺のために」


バックの中から紙袋を取り出し、豪炎寺に差し出す。

豪炎寺は一瞬驚いた後、優しく笑った。


「ありがとう。」

「いや、味は保証しない。一応、ペンギンの形のガトーショコラなんだが……」

「嬉しい、鬼道。今までもらったどのチョコよりも」

「………そうか」


喜んでくれて、よかった。昨日頑張ってよかった。

最初は、引かれるかと思ったのだが豪炎寺のことを思うと作らずにはいられなかった。


「鬼道。」

「なんだ?」

「お返しは…何がいい?」

「かまわない。別にお返し目当てじゃ…ん!?」


いきなり、口を豪炎寺にふさがれる。

ここは学校の教室なのに!と焦って周りを見渡せばだれもいないことにほっとする。

キスがどんどん深くなり、苦しいので豪炎寺の胸板をたたけば、唇が離れた。


「…っ、お返しはこれから毎日のキス、だ」

「なっ!」

「いいだろう?」

「………バカ者」




【バレンタインデー】




(鬼道、男子にはお返し返すなよ)
(なぜだ)
(俺が、返しておくから)
(?)




END

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