企画用
□おねだり
1ページ/1ページ
*本番なし
とある晴れた日曜日。
豪炎寺の家に訪れれば、いきなり押し倒された。
カーテンが閉められ、隙間から覗く日差し以外俺たちを見ているものはいない。
「鬼道、シたい」
余裕のない豪炎寺の表情に、俺はこくりと頷いたのだった。
*
「……っあ!…ンう…っ」
「声、抑えるな。聞きたい」
今日は部屋にやって来た鬼道をいきなり押し倒した。
俺があまりにも余裕のない顔をしていたせいだろうか。鬼道はあっさりと行為を受け入れた。
そんな優しい鬼道を愛しいと純粋に思った。
「ひ…ぁ!そこ、ばっか…やぁ…っ」
鬼道はすでに上半身は何も身に着けていない。
片手で左の胸の突起に触れながら、耳を甘噛みしたり舌を入れてみたりする。
鬼道は胸も耳も弱いので、びくびくと快感に耐えていた。
その姿はとても可愛い。声を我慢しているところも可愛い。
しかし、だ。
俺は鬼道の甘い声が聴きたい。理性を失くした鬼道が見てみたい。
求めるのは、いつも俺からだから。
高いプライドとそのずば抜けた頭脳が鬼道の俺を求める言葉を口から出させはしない。
ギリギリのところで踏みとどまる。それがじれったくてたまらない。
もっと、鬼道が俺を求めればいい。
「…あ、ぅ…っ、ん…、ひ…ぁ!」
「鬼道、愛してる」
ふっと耳に息を吹きかけ、低い声で囁けば鬼道の顔が朱に染まる。
その様子を見て満足した俺はチラリと鬼道の下半身に目をやる。
予想通りズボンの上からでもわかるほど反応していた。
胸を触っていた手を、鬼道のズボンへとずらし、ゆるゆるとズボン越しに鬼道のソレに触れる。
「や…ぁ!…ン……っ。豪炎寺…!」
何故、ズボン越しなんだ。目がそう訴えかけている。
ゆるゆると揺れている腰もそう言っている。
「……鬼道、言ってくれないと分からない」
「っ!」
鬼道の表情が絶望へと切り替わった。
でも、譲るつもりはない。俺にだって譲れないことくらいある。
「……豪炎寺、から始めた…んだから、好きに…すればいい」
「なら、このままだな」
いじわるに、もみほぐすようズボンの上から刺激を送り、ズボンを脱がせて生地越しに後孔に触れる。
ピクリと揺れたゴーグル越しのつぶらな赤い瞳にはこれから訪れるであろう快楽を待っている色が滲んでいた。
しかし、口はつむいで動かそうとはしない。
いつものように俺が折れると思っているのだろう。
「……鬼道」
「…っ、修也…!」
「なんだ?」
「〜〜〜〜っ!」
鬼道の表情に苦しさが現れてくる。
刺激が欲しい。でも、そんなこと言えない。
鬼道の中の葛藤が手にとるようにわかるほど鬼道の表情は真剣だった。
「………っ、触って…くださ……」
「どこをだ?」
「!」
「言ってくれないと分からない」
キッと涙目の鬼道が睨んでくる。
そんなのむしろ逆効果だ。俺を煽るだけ。
鬼道の下着を脱がせ、後孔の入り口をトントンとノックするように触れる。
鬼道には甘い疼きが感じ取れたのだろう。少しだけ甘い声が漏れた。
「鬼道……、聞かせてくれ。俺にどうしてほしいのか」
「…………触って、ほしい…」
「どこをだ?」
「俺、の………、全部…」
「!」
負けた。
全部、だなんて。そんな返事が返ってくるとは思わなかった。
鬼道はいつだって、俺の理性を崩れさせる。
とんだ小悪魔だ。
「豪……っン!?…ひっ、あ、…っ、ひゃ!」
手にローションを垂らして、少し慣らしてから鬼道の後孔に指を入れる。
本当は鬼道に一度先にイって欲しいのだが鬼道曰く「一緒に達したい」と前に言われていたので約束を守る事にしようと思う。
焦らした効果か、鬼道のナカはとろけるほどに熱く、いつもより鬼道自身敏感になっているようだった。
「あぁ!…ふ…っ、ひゃあ…っ、ン…!」
「鬼道……っ!」
すでに三本入った指をバラバラに動かせば鬼道はビクビクと跳ねた。
快楽しか感じていない鬼道の表情。
それを確認して、鬼道のゴーグルを外させる。
快楽から流れた涙を舌でなめとり、唇にキスを落とす。
「も、……っ、ひ!豪炎寺…!」
欲しい、豪炎寺が欲しいと連呼する鬼道に理性が崩れ去らないわけがなかった。
近くのコンドームに手を伸ばし、すばやく装着する。
「いくぞ、鬼道」
鬼道がコクリとうなずいたのを確認して俺は鬼道と一つになった。
*
「……豪炎寺」
「なんだ」
「何故、いきなり押し倒したりしたんだ」
「昨日、鬼道の夢を見たんだ。だから、つい我慢できなくて…すまない」
「……どんな夢だ」
「言っても怒らないか?」
「保障はしない。でも、言え」
「……………鬼道が、俺におねだりしてくる夢」
「ほう、何をだ?」
「もっと触ってとか、もっと奥を突いてとか………」
「…………」
鬼道にキックをくらったのは言うまでもない。
【おねだり】
(豪炎寺は俺におねだりしてほしいのか?)
(あたりまえだろう)
(……じゃあ、豪炎寺…。もう一回……シたい……)
(いただきます。)
END