企画用
□片思い
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俺は、監督のことを慕っている。
サッカーの面でも、恋愛の面でも。
たまに見せる笑みや、無愛想なのに優しい所、俺たちのことを一番に感じてくれていること、すべて好きだった。
だから今、監督と一緒に作戦を練っているにも関わらず、集中できていない。
久遠監督の吐息を感じるだけで心臓はバクバク言い出す始末だ。
「……鬼道」
「あっ、なんですか」
「集中できていないな」
「……す、すいません」
しゅん、と小さくなり、謝れば大きな手の感触を頭に感じた。
「か、監督!?」
「なんだ、なでているだけだ」
「やっ、やめてください……!」
そんな優しい目で見られたら。期待してしまう。
泣きそうになってしまう。
いけない恋だと知っているから、つらい。
「……鬼道、キスしていいか」
「!?」
からかわれている、と思った。
子供の俺にそんなことを言って、監督は何をしたいのだろう。
楽しんでるだけ?でも、監督はそんなことしない。
戸惑いの色をにじませ、俺はこくりと小さくうなずいた。
「……ん、」
優しいキスに緊張しつつ、俺は心の中で呟いた。
(好きです、あなたのこと……)
報われないと知っていても、近い未来久遠監督の恋人になれればいいと、強くそう思った。
【片思い】
END