企画用
□触れない手と手
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鬼道に、告白した。
「好きだ」と言えば鬼道も「俺もだ」と言ってくれた。
こうして、俺と鬼道の‘おつきあい’はスタートしたのだった。
*
「豪炎寺、一緒に帰ろうか」
「ああ」
あれから三週間。俺たちは健全なおつきあいをしている。というか健全極まりない。
……鬼道は好きな子に触りたいとか思わないのだろうか。
三週間たって、手にも触れないのは気のせいなのだろうか?
俺に、興味…ないとか、なのか?
「鬼道っ!」
「なんだ?豪炎寺」
「俺のこと…好きか?」
「当たり前だろう。今更何を言う」
なのに、どうして。触れてこない?
鬼道にそういう性欲とかないのだろうか?
俺は少なくとも鬼道と手をつないだりしたい。
「豪炎寺?どうかしたか」
「いや……、鬼道は性欲とかないのか?」
「豪炎寺はどうなんだ」
「え?」
聞き返されると思わなかったので、ポカンとしてしまう。
俺に性欲?あるに決まってるじゃないか。鬼道にこんなに触れたい…触れられたい。
「まぁ、ある」
「そうか。俺もそんな感じだ」
「っ、なら!何故俺に触れてこない!」
「豪炎寺……?もしかして…俺に触れられたいのか?」
「わ、わるいかっ」
「い……いや。」
驚いたような鬼道に何故か泣きたくなる。
これじゃ、まるで体目当てみたいだ。
俯いていると、手に温かい感触を感じる。
「俺も、豪炎寺に触れたかった…。しかし、豪炎寺はそういうの嫌いじゃないかと思ってだな」
「っ!」
「すまない。これから遠慮なくいただこう」
「!?」
「豪炎寺は俺に触れられたいんだろう?」
小さくうなずけば、鬼道は優しく笑った。
【触れない手と手】
END