企画用

□恋花火
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俺は、鬼道が好きだ。

常に凛々しく、ゲームを支配する鬼道も。優しく妹に笑いかけるそんな一面も。

気付かれてしまっては鬼道の傍にいられない。

そう思い、この思いは隠してきたはずだったのだが、


「豪炎寺!今日夏祭りだな!鬼道と二人で行って来いよ!」

「頑張ってください!お兄ちゃんを幸せにしてくださいね!」

「豪炎寺!鬼道を幸せにしないと許さないからな!」


という具合に円堂と音無と佐久間に応援されてしまった。不動にも肩をたたかれた。

ということで。


「鬼道、夏祭り…一緒に行かないか」

「ああ、かまわない。6時に公園入口で待ち合わせでいいな?」


あっさりと鬼道との約束をとりつけたのだった。














6時10分前。公園に足を運べば、もう鬼道は来ていた。


「鬼道!悪い、待ったか」

「いや、来たところだ。行くぞ」


鬼道はスタスタと歩き出す。その後ろを俺は追った。

屋台を鬼道は興味津々という具合に見ていた。もしかしたら、祭り自体初めてなのかもしれない。

鬼道と手がつなげればいいな…なんて思いつつ、鬼道を見れば。


鬼道がいなくなっていた。


もうはぐれたのか!?きょろきょろと辺りを見渡すが鬼道の姿はない。

こんな人ごみじゃケータイも繋がらない。というか鬼道の電話番号を知らない。

こんなことなら手をつないでおけばよかった……と思いながら前進する。

どこだ、鬼道。もしかしたら鬼道は俺がいないことにさえ気づいていないんじゃないだろうか。

そう思ったら少し悲しかったが、鬼道を見つけるが最優先だと自分に言い聞かせ懸命に探した。


「あの!」


ぐっと手を引かれた。鬼道か!?と思い振り返ればそこには女子3人が立っていた。

何の用だろう。俺は急いでいるのに。


「雷門中の豪炎寺さんですよね?私達とお祭り回りませんか?」


逆ナンパされた。確かに目の前の女の子は飛びぬけて可愛かった。

しかし。鬼道の方がその100倍可愛い。


「すまない、連れを探しているんだ。」


やんわりと手を振り払い、俺は辺りを見渡した。

するとドレッドが俺の目に映る。

まだ何やら言っている女の子達を振り払い、俺は走り出した。


「鬼道!」


そう名前を呼べば、涙目の鬼道が振り返った。

勢いに任せて、鬼道を抱きしめる。

何やらここは神社の裏らしく人は誰ひとりいなかった。こんな所に居たのか。見つからないはずだ。


「ご、豪炎寺!?…は、はぐれたかと思った…ってく、苦しい!」

「鬼道…、鬼道…っ!」

「全く……怖かったぞ…こういう所俺は初めてなんだから、ちゃんと案内してくれにと困る」


苦しがる鬼道を離し、「こうすればはぐれない」と手を握る。

はぐれたことがそうとう怖かったのか涙目の鬼道の頭をなでる。


「こ、子供扱いするなっ」

「いや、泣きだしそうだったから」

「…っ、それにナンパされてただろう!あの子たちはもういいのか?」

「見てたのか?でも大丈夫だ。鬼道の方が数百倍可愛い」

「!?」


俺の言葉にパクパクと口を動かし、言葉を失っている鬼道に俺は言葉を続ける。


「鬼道、好きだ。付き合ってくれないか」


次の瞬間、赤い花火が空に舞い上がった。






【恋花火】


(豪炎寺たちうまくいったかなぁ)
(大丈夫ですよキャップテン!)
(くそ、鬼道泣かせたら豪炎寺殺す…)
(佐久間怖ぇーよ)




END

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