長編book

□04.決意
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◆豪炎寺side



鬼道の様子が朝から変だった。
もしかしたら昨日の行為のために腰を痛めているのかもしれない。そう思った。

でも、そうじゃなかった。

どうやら鬼道は精神的に何やら悩んでいるようだった。
だから俺は一緒に帰ることを提案した。




「元気なさそうだな、鬼道」

「そんなことはない」

「……そういえば部室で好きな人の話をしたとき思ったんだが、鬼道好きな人いるのか?」

「……ああ」




いた、のか。知らなかった。

俺は動揺を隠しつつ、会話を思い出す。
確か…ショートの髪の毛の真っ直ぐな子が好きだと………。




「…豪炎寺こそ好きな人がいるのだろう?」

「ああ、まあな」




男だがな。と心の中で呟く。
鬼道は考えもしないのだろう。俺が男を好きだなんて。
それが、自分だなんて。

明らかに落ち込んでいる鬼道の横顔を見ながら俺は言った。




「その恋、応援しようか?」

「!」




鬼道の顔に衝撃の色が滲む。

俺は、鬼道の傍にいたい。
親友としてでも何でもいいんだ。そばに、いたい。
その為なら何だってしよう。鬼道の恋さえも実らせて見せよう。




「…………いい。俺はこの恋を叶えようとは思っていない。」

「何故だ」

「豪炎寺には関係ない」





ふと、思った。
鬼道は俺と身体の関係を持っているから、気を遣っているのではないか?
鬼道は、そういう優しい奴だから。残酷なほどに。

それに鬼道の身体は女では満足できない………。

俺の、せいなのか?
もしかして、こんなにも鬼道が苦しんでいるのは。





「明日、鬼道の家に行ってもいいか」

「ああ。でも、昨日したばかり……」

「イヤか?」

「!……そんなことはない。」





俺は、秘かに決意した。







明日で鬼道を抱くのは最後にしよう、と。

鬼道を解放してやる、と。




そして明日が終わったら少し鬼道と距離を置こう。



そう決めたのだった。
俺は気づかない。鬼道が愛しそうに俺を見ていることに。






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