復活
□魔法の言葉
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「ん…」
閉じた瞼の裏に眩しい光を感じて、僕「雲雀恭弥」は意識を覚醒させた。
身を起こし、視界に映ったデジタル時計が示す日付に、目を眇る。
この日ほど、嫌いな日はないかもしれない。
窓を開ければ青々とした木々に、眩しい朝日が射し込みキラキラと輝かせる。
まさに、この日――5月5日の月の景色だ。
僕はこの日に生まれ、この日が嫌いだ。
別に、自分が生まれたことに悲観しているわけではない。
ただ、死に近づくというのに祝う奴らの気が知れないし、一々祝われ騒がれるのが煩わしくて嫌いだ。
自分の髪と同じ真っ黒な制服と腕章をつけ、朝食や支度などを全て済ませ、家を去る。
生暖かい風を感じながら校門に向かうと、騒がしい声がした。
「テメェ、十代目に気安く触んじゃねェ野球バカ!!」
十代目こと沢田綱吉の肩を抱いていた山本武に、沢田の右腕と豪語する獄寺隼人は叫んだ。
まるで番犬のようだ。
痛くなる耳を抑えながら歩むと、獄寺にヘラヘラと笑うと山本と、その山本に肩を抱かれる沢田はアワアワしていた。
そんな彼らを横目に、唇が綻ぶのを感じながら教室へと向かった。
その際に、沢田がこちらを見て自分に声をかけようとしていたことには、気づかなかった。