復活

□Cigarette
3ページ/4ページ

唇に柔らかなものが触れた感じがした。

見えないのもあり、突然の事に目を見開いてしまう。

「っ…ううんっ…」

抵抗出来ず、力が抜ける。

スルリと缶が手から滑る。

缶は、コロコロと流れていった。

そして視界の端には、缶が転がり落ちて、夜空を駆ける黄色い流れ星が映った。

「ふっ…く、…んっ…ひばり、…さん…っ!」

ドン!と強く押し、震える声で呟く。

「な…ん、で…」

呆然とする俺に、雲雀さんは静かにいった。

「…好きだ。」

そう言うと、自分のポッケをまさぐって、何故か煙草を俺の前に突きだした。

「…どういう味か知ってる?…教えてあげる」

グイッと引っ張られ、あっという間に再び唇を重ねられる。

雲雀さんからは、苦いけれども何処か甘い煙草の味がした。

もしかしたら、夜空を駆ける流れ星の味も混ざっているからかもしれない。

(こう…いう…味なんだ…)

煙草の味に陶然としていると、雲雀さんが冷笑を浮かべた。

「…わかった?」

俺はとりあえず、小さく頷く。

雲雀さんの、夜のように冷たい目付きなのに、コーンポタージュのように、温かく細められている漆黒の瞳に…俺は折れてしまった。

「俺も…好き…です…。」

震える声で告げると、顎を掬われてまた唇を重ねられた。

雲雀さんのかっこよさと、煙草の依存性に…酔わされる感じがしてしまう。

雲雀さんからは強いcigaretteの味がして、その味に頭がぼうっとしていってしまって。

そんな俺を雲雀さんは強く、離さないと言うかのように抱き締めて俺の耳元で囁いた。

「抱いて、いいよね?…まあ、拒否権なんて沢田にはないけどね」

…結局俺は逆らえなくて。

けど、それなのに…愛しさが勝って、しまう。

俺は小さく頷き、背中に腕を回した。


―真夜中の路上で、cigaretteの煙がたちこんでいて、俺は誘われるように闇に紛れてしまって。

その先で出会った、漆黒のような貴方に…、そこで知ったcigaretteに俺は酔わされてしまって。
そして、これから先はきっと、漆黒のような貴方に酔わされていくのだ――。


next→後書き
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ