復活

□空色の奇跡
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教室から覗いたのは、広くて澄んだ色をしている青空。

この空の果てにあるのは、絶望だけ。

そう思っていた。

だけど君と出会って変わったんだ。

こんな大きな世界で愛おしい君に出会えたことそれは
『空色の奇跡』


夏。

僕の嫌いな、暑苦しい、真夏だ。

風が気持ちよく感じる。

ふと空に視線を移す。

美しく澄んだ青空。

だけど、この空な果てにあるのは絶望だけ。

誰もいなくて。

一人で。

今も一人。

恐怖を隠して一人生きる。

筆頭にたっているけれど、本当は不安でいっぱいで。

ただ隠して生きて行く。

それだけの事。

君と出会ったのはいつの日の事だろう。

君に出会ってこんな大きな世界を、信じれるようになったんだ。

たしか、授業中にも関わらずさぼって群れている奴らを咬み殺した後、一人で木の下で寝ていた時の事だ。

なんだか草を踏むいい音がして。

他には音がない。

そんな音がない時に、一つ綺麗な声が聞こえたんだ。

「…君は…?」

テノールの声。

少し高めな声。

視界に影が注す。

「…?」

薄目を開け、起き上がる。

「君は?」

今度は僕が問う。

「沢田…綱吉です。…あの…あなたは…?」

沢田綱吉…。

何度も彼の名を心の中で呟く。

雲雀は自分の名を告げた。

「雲雀恭弥。…どうしてここにいる?」

それを言うんなら自分だろう、と自分で思う。

彼は綺麗に微笑みながらいった。

「空、見たかったんだ。」

僕は空が嫌いで大好きなんだ。

綺麗で美しくて好きな反面、その空にある先には誰もいないから嫌いなんだ。

絶望しかないから。

「…好きだけど、僕は嫌いだ。…絶望しかないから…」

こんなこと誰かにいうのは初めてだ。

彼は微笑んでいった。

「…でもさっ」

そして、彼の次の一言で僕の世界が色づいたんだ。

「一瞬でも綺麗でいられるだけで、幸福だと思うんです!…ねぇっ、雲雀さんっ」

次の瞬間、僕の世界が変わったんだ。

「俺ら、できればずっとこの空を眺めていようよ!雲雀さんの言う「青空の果て」が違うことを証明しましょうよっ!!」

青空の果てが絶望じゃない…?

闇じゃなく光だと言うのか…?

彼は空にキラキラとした瞳をしながら「青空の果てが絶望じゃなくて、「幸福」だったら…それは、きっと『空色の奇跡』ですよねっ」と言った。

『空色の奇跡』…。

心に刻み込まれた言葉を繰り返す。

「…綱吉」

初めて誰かの名前を口にした。
「なんですか?雲雀さんっ」

…あぁ。

その太陽のような笑顔。

護りたくて、愛おしいんだ。

「好きだよ。綱吉。」

彼は驚き、くしゃりと笑んだ。

「俺も…好きなんだ…。雲雀さんが…!」

僕は抱きしめ、囁いて、唇を重ねた。

「…んっ…」

綱吉の瞳は潤んでいた。

そんな顔にぞくりとくる。

(もっと泣かしてやりたい…)

だけど、無理矢理なんて犯したくはない。

大事で儚い君だから。

「…抱いて…いい?」

なんで僕の声震えているんだ?

彼の手を離してしまったら、彼が消えていってしまいそうで、怖かったんだ。

この手を離したら…二度と会えなくなってしまいそうで、こわいんだ。

「…うん。…いいよ。大好きだから…っ」

結局、僕は彼を純粋で綺麗な空の下で犯したんだ―…。
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