復活

□月夜の教え
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side:骸

目の前で小首を傾げている、金髪の愛しい人に心中でもため息を吐いた。

…なぜここまで鈍感なんでしょうか、この人は…。

…こんなの「嫉妬」だなんて分かってはいるのですが…、…あまりにも"彼"と仲が良さそうで、僕は思わず呟いてしまっていた。

別段、目の前の彼とあの憎たらしい"彼"が恋仲だということはない。

…そして、僕と目の前の彼が恋仲だということもない。

…そう、僕らはただの他人。

…僕は、こんなにも貴方を想っているというのに、貴方は気付きさえしない。

…その金色の柔らかい糸を、その蜂蜜色の瞳を、その甘い声を、…貴方の全てを僕だけのモノにしてしまいたい。

…貴方の全てを、僕だけのモノにしてしまって、強引に全てを明け渡せてしまいたい。

…無理矢理にでも、その躰を奪ったとしたら、…貴方は僕だけのモノになるのでしょうか…?

…けれど、…貴方の眩しい笑顔だとか、…甘くて優しい声だとか、…全て全てが僕には眩しくて。

…だから、奪えない。

…臆病な僕は貴方を壊すなどできないのです。

けれど、愛しくて、愛しくて。

…だから、僕は―……。

「…跳ね馬」

蜂蜜色の瞳で僕を睨みつける彼をそっと抱き寄せた。

彼は顔を真っ赤にしながら、もがくが、僕の腕のせいで逃げ出せずにいる。

…あぁ、この熱が僕を癒し、僕を狂わせる。

せめて、今だけは。

…この熱が僕のモノだと示させて。

…どうか貴方だけは、僕がこの世に生まれ堕ちたことを拒まないでください。

腕に抱く愛しき存在を更に強く引き寄せれば、彼がひどく小刻みに震えた。

一旦身体を離して、…目に映った光景にひどく心を揺さぶられた。

…そう、だって金色の彼の瞳と頬が微かに濡れていたのだから…。

「どうしたのですか…?」

濡れた蜂蜜色の瞳から溢れる雫を、指で掬いながら訊ねると

「…好きなんだ、オマエが…!なのに、期待させるようなことばかりして…っ、俺は…っ!!…っ、んぅっ…!!」

…今彼は、何て、言った?

勢いよく引き寄せて荒々しく唇を重ねては直ぐに唇を離し「…もう一度、言って、くれませんか…?」とそっと祈るような思いで訊ねれば「…バカやろ」と笑われ、月夜のシルエットが重なった。

黄金の月夜のみぞが知る、僕達の想いが漆黒の空に輝いていた。


―貴方に出会えて、この世に生を受けて良かったと思えて、今年の、僕がこの世に生まれおちた日は、とても温かく優しきモノだと愛しき貴方が教えてくれました―。


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