復活
□月夜の教え
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side:ディーノ
…日付が変わる時間、俺の元に長い藍色の髪を一つにまとめた、ものっすっげー変態がやってきた。
「…オマエ、何しに来たんだよ。…六道…」
窓の淵に長いブーツを履いたままの長い足をかけ、オッドアイで俺を見つめる不法侵入者にため息を吐いた。
月の光に照らされている姿は、妙に麗しく感じさせる。
「何って。…今日が何の日か知りませんか?」
少しだけ、悲しむような顔をする奴に、軽く不信感を抱いたが思案を巡らせる。
すると、数日前に言われたことが引っ掛かった。
「…オマエの誕生日…か?」
ポツリと呟くと、目の前の男は花が綻んだように笑った。
…くそ、コイツ顔はいいんだよな。
などと半ば心のなかで舌打ちをしていれば、顎を掴まれた。
「何か、くれるんですか?」
…言える訳ないだろ、"今さっきまで忘れてた"なんて。
つまりは、用意できていないだなんて。
なんとも言えず、口を閉ざしていれば「やはりそうでしたか。…なら…。」と呟かれ、腰をそっと手のひらでさすられた。
ぞわり、と悪寒からかなんなのか分からないが鳥肌がたった。
「貴方を、僕にください」
耳に熱い息と共に吹き込まれる艶を含んだ声に、思わず「やっ…っ」と鼻にかかった声があがってしまった。
…というか何なんだこの馬鹿は。
男の俺に何言ってんだよ?
俺は、ハァとため息を吐いて「冗談は顔だけにしろよー」と返した。
すると、六道は端整な顔に深い笑みを浮かべて、俺の耳元で囁いた。
「僕に囁かれて、あんなに甘い声を出して誘っていたのに…ですか?」
―っ!びくりと肩を震わせれば、…憎たらしいほどの甘い笑顔で微笑んでいた。
さ、さ、誘ってなんかないっ!と赤い顔で返せば「意地らしいですね。…そこが可愛らしいのですがね」などとよく意味の分からないことを言われた。
…ホントに六道は俺をからかいに来ただけなのかよ?
今にも花を咲かせそうな笑みを深めている奴を軽く睨めば「…雲雀君にはそんな顔見せないのに…」と呟かれた。
…え、恭弥?
なんで恭弥なんだよ??首を傾げれば「すみません。何でもないです」とはぐらかされてしまった。
…ホント、何がしたいんだろ?
「六道オマエ何がしたんだ??用がないなら帰ったほうがいいんじゃ…」
夜も深いし。
六道の考えていることがよく分からず、呆れたように言えばオッドアイの瞳が揺れて、俺の目を捕らえた。
「…僕は貴方に会いに来ただけなんです。」
…っ、なんで、だよ。
なんでこんな時間に、ここまでして俺に会いたいんだよ??
そう首を傾げて訊ねれば、「…鈍感」と呆れたようにして呟かれてしまった。