復活

□太陽の贈り物
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意識が深い闇に沈むなか、雲雀の薄い耳に何やら叩く音が飛び込んだ。

雲雀は閉じていた切れ長の漆黒の瞳を開き、眉を潜めながら辺りを警戒するように身を起こした。

視界に飛び込んできた金色に、柄にもなく目を見開き、間抜けな声を出してしまう。

「…何してるの、…ディーノ」

金色、いや己の恋人に訝しげに声をかけ、そっと近づく。

ディーノは持ち前の端整な顔に、今は姿を現さない太陽のような笑みを浮かべた。

「いやー、だって今日、恭弥の誕生日だろ??考えてたらうずうずしちまってさあー」

続けて「会いたくなっちまって」と舌を出して笑った。

社会人には思えない、悪戯っ子めいた恋人の笑顔に、雲雀は軽くため息をつきながらも切れ長の漆黒の瞳を優しげに細めた。

まるで、子供みたいに気まぐれで明るくて突拍子もない人。

けれども、それが堪らなく可愛くて、思わず「冷酷」だと言われる己ですら手放したくなくなってしまう。

「…何?何かくれるの?」

そんな甘ったるい感情を悟られないように、軽く目を眇ながら細い顎を手で掬う。

すると絹のように白い肌は赤みを帯び、夜に浮かぶ月の光によって妖艶に彩られ、己をひどく誘う。

ディーノはそれに気づいていないのか、爆弾を投下した。

「…オマエは、物しかいらねぇのかよっ…」

…何、この可愛い人。

端整な顔は赤く染まり、すらりと伸びている白い足や、己の所有の証が刻まれている細い首を持ち前の金色のように輝く月の光が照らし、…己を高揚させる。

腕を掴み、広いシングルベッドに押し倒して馬乗りになった。

すると、一旦瞳が見開かれるがすぐに微笑まれた。

「…恭弥。…誕生日おめでとう」

…嬉しいはずなのに、思わず眉を潜めた。

毎年、この日に己や他の、同じ日に生まれ落ちた人は歳を一つ重ねる。

それは死に近づくことをさす。

それなのに、どうして人々は「お誕生日おめでとう」などと祝うのだろう。

先程考え、忘れようとしていた問いを思いだし、つい舌打ちをした。

自分が気分を害させてしまったのかと不安そうに、恋人が「どうした?」と問いかける。

…恋人までも悩ませてはしかたない。

雲雀はため息を吐き、恋人にそっと問いた。

「…ねぇ、ディーノ。
どうして誕生日に「おめでとう」だなんて言うんだろう」

何を言う、とでもいいたいかのように恋人の目が眇られる。

続けて雲雀は己の意見を述べた。

「歳を重ねるってことは死に近づくってことでしょ?」

述べた言葉に、思わず影が射す。

すると、組み敷かれている恋人は目を細めながら己の頬に手を添え「バカだなあ」と笑った。
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