歌詞題材

□俺達のJOY!/山本武&獄寺隼人
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雨の中、泥を跳ねながら振り回されるスニーカーの音が、自分以外にも聞こえ、近づいた影を見つめれば、こちらに気づいた影が目を瞬かせた。

「獄寺、」

「ンだよ野球バカ」

「……獄寺も同じ、なのな?」

脈略のない質問と、勝手に野球バカと同類にされ憤慨すれば、いつもとは違った、若干影が落ちる笑みを向けられる。

「ツナにかける言葉が、見つかんないって言うかさ。…ツナの気持ちが分かるからこそ、俺から言うのもなって、なー…」

あぁ、成る程。
ムカつくが10代目を想う気持ちは、やっぱりこの野球バカも変わらないのだ。
俺程10代目を慕ってるとは思えねェが、それでも分かる野球バカなりの優しさと、10代目への想い。

雨に濡れ、冷たさや何やらで震える自分の肩を片手で掴み、俯きながら頷いた。

貴方の笑顔を見るためには、どうしたら、いい?

出ない答えを探し求めている気持ちが、胸の中で燻る。

「…俺は、10代目の笑顔が見てェ」

それは、好きだから、慕ってるから、恩を返したいから、そんな簡単なモノからじゃない。
井の中の蛙であった俺の弱さを行動で示してくれて、周りを包む大空のような優しさで、こんな俺にも接してくれた、10代目。
右腕であり、何より烏滸がましいかもしれないが、友達である10代目に、笑ってほしいのだ。

ポツリと溢れたそれは、10代目以外には抱くことがない感情。
俺の想いと同じだからか、野球バカは小さく笑ってから、雨に濡れた髪を掻きあげて、笑った。

「俺も同じなのな。…な、獄寺。ツナに―…」

雨音の中で提案された内容に目を瞬かせるのと同時に、多少の不満を抱くも、10代目が喜んでくださるなら…と提案を呑んだ。

待っててください、10代目。
野球バカと俺なりの精一杯の気持ちを、貴方に伝えますから。
貴方が大切で仕方がない俺らの想いが、貴方の心に飛んでいけますように―…。

早速と、今頃授業を受けてらっしゃる10代目に想いを馳せながら、行動に移すべく雨道を駆けていった。

10代目はきっと、頑張りすぎてその頑張りがたまに空回りになり、無茶をなさってしまうだろうから。

そんな貴方から逃げたりなんてせず、俺達は諦めずに、貴方を笑顔にするという、直球勝負に挑みます。
だって、諦めないことが一番遠そうな近道だと、思うから―。

貴方の終わりのない笑顔を見る為に、狙うは一発 Yesホームラン!
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