自作お題100!

□自作お題、1〜5
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2「夕立」:レゴー

すでに日は西に傾いていた。

空には茜の美しい夕焼けが昇っている。

暁空から座す光により、葉や大地はほのかに橙色に色付いていた。

自然溢れる公園には、二つの人影があった。

「ゴー、もう少し、したら帰るか?」

優しく耳元に落とされる声に、ゴールドは口の端をつり上げて、笑った。
「もう少し、いましょーよ、先輩」

ゴールドは甘える猫のようにレッドに頬擦りをした。

相変わらずな後輩にレッドは小さく苦笑いをこぼすが、正直な所、レッドも、もう少しだけいたかった。

甘えてくる後輩の、自慢の髪をそっと優しく撫でた。

心地よさに目を閉じるのと同時に、ポツと、手の甲に冷たい粒が落ちた。

「…雨…」

先程の空からは、微塵にも感じないくらいの雨が、ポツ、ポツと次第に強くなっていった。

「夕立…っスね」

愛用の帽子のつばからも、雨の雫が伝う。

すでに二人はずぶ濡れになっていた。

ーー不思議だが、帰りたいと思えない。

雨は車軸を流すかのような大雨となり、風も強くなってきた。

「…帰らないのか?ゴー」

レッドは口元に笑みを浮かべ、熱を帯びた赤の目を見つめた。

「先輩こそ、帰らないんスか?」

互いに見つめあうと、ふと笑い、軽くごく自然のように唇を重ね合わせた。

どしゃ降りの雨で冷たくなるはずなのに、身体は、互いの瞳は、燻る程に、熱い。

何度も唇を離しては重ね合わせ、舌を絡め、強く抱き締めあう。

互いに目が合えば、自然に唇が重なる。

「愛してるよ…、ゴー…」

耳に落とされた、甘美な囁きに身体がふるり、と震えた。

あぁ、この灼熱のぬくもりと共に、融けれてしまえたらいいのに。

なんて魅惑な誘惑だろうと、嘲笑した。

ーーたまには、こんな夕立もいいかもしれない。

燃えるように紅い日は、少年達を照らし、影を作った。

映った影同士が、そっと重なり合っていたー。
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