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□愛の証のエメラルド
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小さな探偵は暴れるのを止め、深いため息を吐きながら片目はモノクルで覆われている、己と同じ色の瞳を見つめた。
「おや、今日は随分早く大人しくなりましたね、どうかいたしましたか?」
誰のせいだと思っている、いいから早く要件を言え。
無言ながらも圧力をかけるように見詰めると、IQ400の怪盗に伝わったのかため息を吐かれながらも、要件を言ってきた。
「…ハッピーバースデイ、コナン」
耳を擽る、低いながらも甘い腰が砕けてしまいそうな声に思わず頬が熱くなる。
そして、吹き込まれた言葉に目を瞬いた。
何故、コイツが俺の誕生日を知っている?
…俺はコイツの正体を知っている、コイツと俺はその…なんだ。
…恋人、同士で。
しかし、特に己の誕生日をわざわざ言おうとは思わなかったので、言ってはいない。
…まさか、あの手この手を使って蘭に聞いたりしたんじゃ…?
ス、と自然に細まる瞳で見上げると苦笑いを浮かべられた。
「…お、う。…サンキュ」
問い詰めたいのは山々だが、怪盗には時間がない。
ヘタしたら己が必死に疲れた身体に鞭を打ち、ここに来た意味がなくなるかもしれない。
頭脳を張り巡らせ、とにかく先を急ぐことにした。
けれど、やはり祝福の言葉を言ってくれたのだから、お礼はしたくて。
なんでこんな怪盗相手に、そう思うも告げた。
すると、怪盗はいつもの紳士さはどこ吹く風とやら、目を輝かせて俺に頬擦りをしてきた。
「か、か、か、可愛いーっ!ね、お持ち帰りしたい、もう時間もないし俺ん家に泊まって話して、そんであれこれして…いてっ!」
…オマエ、完全に今オフモードつか「黒羽快斗」だったろ。
つーか、お持ち帰りとかなんだ。
あれこれとか何をする気だ。
生ぬるい視線を向け頭を叩けば、声をあげながら頭を抑え、コホンと咳払いをする。
「…とにかく、…名探偵にいや、コナンに私からの、プレゼントです…」
一瞬で怪盗に戻り、俺の掌を柔らかく握ってくる。
またいつものマジックか?
首を傾げるも、掴まれる感触がなくなったと思い掌を見れば、目を瞬いてしまう。