携帯獣
□真夏の甘い食事会
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―流石の俺でもこれは「よくあるこった、気にすんな」なんて言えない。
なあなあ頼むからマジで誰か教えてくれって…どうして、なんで、こうなったんだァアアア!?
「ん、ぁ…っ、ふぁっ…!」
太陽が天高く昇る時刻。
神聖なはずの台所からは、多くは煌びやかなネオンが輝く時刻に発せられる、艶かしい声があがっていた。
本日は真夏日を通り越して猛暑日であり、己の身体をまさぐる掌のせいもあってかいくら文明の利器を利用して室内温度を下げても、然程真夏日の時と暑さは変わらない。
ぼんやりとしてくる頭で真っ昼間には不相応な声を上げている少年は、必至に「このようになってしまった」理由を探していた。
そうでもしてないと、断続的に襲いかかる波に呑まれてしまうからで。
堪えるように噛み締められた、苺のように艶やかな唇やシンクにしがみつくように突っ張る姿から、その様子がありありと伝わる。
そんな少年に気を損ねたのか、華奢な身体をまさぐる指先で、ぷくりと腫れた胸の飾りをピンと弾いた。
「ひぁぁ!っ…レッド、先ぱ…っ」
更に濡れた声を上げて、少年は堪らず背を弓なりにしならせる。
レッドと呼ばれた少年は、快楽を示す声を聞けたからか、至極満足そうに形のいい唇を弧に歪めた。
燃えるような赤の瞳には、少年に欲情を抱いているのがありありと伝わる、臙脂の炎が宿っている。
与えられた快楽によるからか、少年はつり目な金色の瞳を潤ませて、燃える瞳を見上げた。
すると、レッドはあくまで優しげに眇て柔らかな朱に染まる頬を空いている手でそっと撫でた。
「ゴー…よそ見しちゃダメだぜ?」
甘い響きを持つ声色に、ドクリと鼓動が揺れる。
それはアンタのせいだ!といつもなら牙を向く金色の少年も、暑さにやられたからかただ赤面するばかりで。
そんな少年にレッドは驚いたように目を瞬かせるも、すぐさまに目元を弛める。
少年は気まずいように顔を何とか前に向け、震える声で紡いだ。
「っ、先輩のせいっスっ…つか、離してください、俺の飯食いたいんでしょっ!」
密着しているからかレッドを知り尽くしてるからか何なのか、声を立てずに己を笑っているのがありありと感じる。
少年は羞恥に身体を小刻みに震わせるも、先程思考を巡らせていたものをもう一度巡回させた。