鬼畜眼鏡
□拍手集です☆
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御克/母の日編
「Message for you!」
貴方が大好き、大好きなんです。
だから貴方をこの世に生まれ落としてくれた、貴方にとってオレにとって大切な人に、プレゼントしたいのです。
会社も休みで、何気なく街へと出掛けている日曜日。
佐伯克哉はある店に足を踏み入れていた。
視界を彩る数々の美しい花たちに克哉は少しばかり見とれていた。
花屋のポスターに書かれている文字を見て、そういえばと思わされた。
本日、5月8日は「母の日」である。
名の通り、自分の母に感謝の想いを述べたり、花や他の物をプレゼントしたりする日である。
(オレも母さんに贈ろうかなあ)
店頭に並ぶ、鮮やかな赤色の花を指差して店員に声をかけた。
「あの、すみません。この花、3本ください」
一つは、自分をこの世に生まれ落としてくれた母、もうふたつはー…。
渡したら、そう思うだけで心が暖まる。
花を購入した克哉は大好きな恋人の元へ向かった。
「ただいまです、孝典さん」
我が家に帰ると、真っ先にリビングで寛いでいる恋人に声をかける。
先にシャワーを浴びたのだろう、恋人の髪はしっとりと濡れており、妙に艶やかにみせる。
「ああ。おかえり、克哉」
ソファーに寛いでいる恋人に声をかけ、おかえりのキスをする。
チュッと軽快なリップ音とともに、華やかな、強い匂いを発するモノを渡した。
「…これは?」
訝しげに真っ赤なそれを見つめ首を傾げられる。
ふふっ、と小さく笑い頬に手を添え深いアメジストの色の瞳を見つめた。
「一つはー…、孝典さんのお母さんに」
何故?と言いたいのだろう、いつも隙のない瞳が見開かれる。
だって、孝典さんー…。
「大好きな貴方を産んでくれたお母さんに、感謝しているんです」
貴方のお母様がいなければ、愛しき貴方は今此処にいなかったのでしょう?
だから、貴方のお母様にはいいきれない感謝があるんです。
そう笑えば「君らしいな」と優しく微笑まれた。
「そして、大好きな、貴方にー…。」
大好きな貴方には、他のひとにとは違う桃色の華(カーネーション)を。
「何故私はピンク色なんだ?」
ふふっ、とまた一つ笑って桃色のそれに口づけた。
「その色のカーネーションの花言葉はー…」
耳に唇を寄せ、ささやいた。
"貴方を熱愛します"
いつまでも、貴方のそばにいたい。
それはきっと永遠のオレの願い。
貴方を生んでくださったお母様、ありがとうございます。
オレをこの世に生まれ落としてくれた母さん。
ありがとう。
そして、孝典さん。
オレを愛してくれて、そばにいてくれてありがとう。
大切な皆(貴方)に伝えたい。
『本当にありがとうー…』