鬼畜眼鏡
□リバース×3LOVE!=何故こうなった!?
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…何か、おかしい。これは今更言っても遅いこと。
それでも俺、「本多憲二」はそうおもわずにはいられなかったーー。
小さな会社の中の8課で勤めている俺、「本多」には"恋人"がいる。
そいつは俺の好きなやつなはず…なのだけれど。
「本多」
低く、けれども聞き取りやすい声が耳に入り、振り向いた。
ーーそう、"恋人"であり、幼馴染みでもある、「佐伯克哉」だ。
…コイツは最近急に人が変わった。
正直仕事ができず、いつも弱気でありけれども人一倍に努力しているアイツが、急に眼鏡をかけた途端に仕事が出来るやつになった。
…俺は昔からアイツが好きだった。
同じバレー部であった時も、克哉は人一倍できるはずなのに目立たとうとせず、けれども人一倍努力していた。
時に見せる笑顔にいつも俺の心があたたかくなっていた。
…いつからだろう。
そんなアイツを「抱きたい」と思ったのは。
俺は約一ヶ月前、克哉に告白をした。
克哉は「いいよ」と言ってくれた。
…嬉しくて仕方がなかった。
はずなのに、だ!!
何故今俺はっ、この眼鏡をかけたコイツに腰を抱かれ、首筋に唇を当てられている!?
…というか今どこかわかっているのかコイツは!
…いや、わかってやっているのだろう。
けれどここはっ、いくら人がいないとはいえ社内だぞ!!
俺は克哉の、腰を掴む手を剥がそうと試みた。
「なんだ、本多?…そうか、分かった」
すると案外あっさりと克哉が離れ、呟いた。
なんだやけに、あっさりとしてるな。
…本当に、わかったのかよ?
そう言おうとする…が。
「家でシたいということだろう?…本多にしてはいい誘い方だ」
はああ!?
俺は眼鏡の克哉を軽く殴ろうとした…が。
「「何故こうなった」と後で言っても遅いくらい、激しくしてやる」
耳元で低く、そして甘く囁かれ、俺の身体の力が抜けていった。
…ちきしょう。
…かなわねェよ。
…俺は克哉を抱きたかった。
けれど今俺は、この克哉に抱かれている。
…かなわなかった。
けれど、けれど。
この克哉も、例え人が変わったように思えても、同じ克哉で。
…だから、俺はー…。
「…っ!あーもうっ!!わーった!…受けてたつっ!!」
きっときっと、愛していける。
そう思うんだ。
この"恋"は思い通りになどならなかった。
まさかのまさか、自分が女側になったのだから。
けれど、それでも。
例え変わってしまっても、オマエはオマエで。
だから俺はオマエをこの先もずっと好きでいると、そう確信しているーー。
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