鬼畜眼鏡

□理科教師×国語教師
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ー例え、流れ星に願いをこめ、叶わず、永久になんて共にいられなくてもいい。

ただ、今だけは。

この手を離さないで、オレを捕らえてくださいー。


あたたかな夜を包む風がオレの頬を撫ぜた。

オレは今、学校の屋上で大好きな恋人と一緒に天体観測をしている。

…勿論、二人っきりで。

恋人の御堂さんはこの学校の理科の先生だ。

そんな御堂さんは屋上の鍵を借りる為に「明日の授業で使うので」と半分本当で半分嘘(らしい)なことを言い、今俺と二人っきりで天体観測をしている。

漆黒の夜に映え、淡い色を放つ星達が美しい。

暫くオレ達は黙って空を見つめていた。

…夏の夜空がこんなにも美しいだなんて知らなかった。

唇を綻ばせながら夜空を見つめていると、隣に座る御堂さんが唇を開いた。

「…あれ、何か分かるか?」

御堂さんが指で示すものを目で捕らえ、問いに答えた。

「天の川…ですか?」

それは細長く、白く発光して輝いている。

天の川であろうものをもう一度じっと見つめていると、小さく笑われた。

「正解だ。天の川は、…「ミルキーロード」と呼ばれているんだ」

…「ミルキーロード」…。

耳にするりと入る言葉に成る程、と一人納得してしまった。

そしてまた視線をそれに移した。

…天の川は真っ白で、まるでそれは果てなく続く白き路のようで。

「…織姫と彦星の話は知っているだろう?」

…そうか今日は七夕…じゃなくて!

そんなことはいいんだ。

そう、二人は天の川により隔てられてしまった。

否「より」ではなく「それで」か。

けれど一年にたった一度この七月七日にだけ再び逢える。

まるで、遠距離恋愛をする恋人のように。

…事実そうだけれど。

「…素敵なお話、ですよね」

だって例えどんなに離れていようとも互いが強く想いあっているから二人はまた出逢える。

「…克哉、…この公式を知っているか?」

…公式?

オレは思わず首を傾げてしまった。
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