鬼畜眼鏡
□保健医×生徒
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ー俺、本多憲二は今ものっすっごく「後悔」している。
何故あの時声をかけてしまったのかとー…。
「んっ…、ぐっ、ふっ…、んっ、あ…っ」
真っ白な部屋のなか、俺本多憲二はある男の「モノ」を口にくわえ奉仕をしている。
ーそう、こうなってしまったのは、俺が「あの時」あいつに声をかけたからで。
それはー。
放課後になり、自宅に帰ろうとしていた俺の目に映ったのは、この間この学校に赴任してきた保険医の「佐伯克哉」だった。
眼鏡をかけ、綺麗な顔立ちなせいか女子や男子にまでもてるすげェ奴だ。
そんなあいつが荷物を重そうに抱えていた。
だから手伝おうと、奴に声をかけた時に腕を掴まれ保健室へと行かされた。
…そして現在に至る。
あの時声をかけなければ、なんて今更後悔をしても仕方のないことで。
…ちきしょう、恩を仇で返された気分だぜ。
眼鏡越しに潜む、蒼い瞳に見つめられ、心臓が高鳴った。
…なんでこんな奴に。
…心臓がこんなにも高鳴る?
…ちきしょう、まさか俺ー…。
そう思うのに、高鳴る鼓動が止まらない。
蒼の瞳で見つめられ固まる俺に、奴は唇の端を吊り上げ、俺の顎を指ですくって俺の耳に唇を寄せ甘く囁いた。
「…俺が、好きなんだろう?」
…本当、なんで、なんで…こんな奴に。
「っ…」
蒼の瞳から瞳を逸らせば唇を重ねられた。
舌をゆっくりと絡められ、混ざりあった唾液が喉と顎を伝う。
それを音を立て飲み込めば、奴はまた一つ笑みを浮かべ、唇を離した。
そして奴はまた俺の瞳を蒼の瞳で捕らえ、囁いた。
「ー俺に堕ちろ、本多憲二」
…っ、ちきしょう。
コイツは、ズルい。
…逆らえない、って分かってるクセに俺に甘い罠を仕掛ける。
…かからない、訳がない。
…そうだろう?
「…上等。」
俺は唇の端を吊り上げ自ら奴にキスをした。
一瞬奴は目を見開き、唇に深く弧を描いた。
…ちくしょう、本当、マジ敵わねぇよ、コイツにはー…。
真っ白な部屋のなか、俺達の影がまた重なった。
ーそして、俺は憎たらしいコイツに溺れていくのだった。
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