鬼畜眼鏡

□夜桜酔狂
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ー夜に狂おしく咲く桜に、目が眩み、酔わされる。
それは、そうまるで、今俺を抱くこの男のようにー。

麗しすぎる桜に、オマエに、俺はいつでも酔わされるんだー…。


「あっ…、はっ、あぁっ…!!…や…っ、…はぁぁ…んぅっ…」

あたたかな夜に浮かぶ月が、情事に身を沈ませている俺たちを卑猥に映している。

大好きな奴を覚えた躯は、軽く胸の突起を弄られるだけで甘く震えてしまう。

「本多…、…キモチいいか…?」

耳元に囁かれる、腰に響く甘さを秘めている低い声に、ナカで暴れ狂う熱を締め付けた。

「っ、んぅっ、はっ、…克哉ぁ…、キモチいい、ぜっ…」

何度も出し入れされる熱に甘い声をあげながら、腰を揺らめかす。

「…今日は、オマエの誕生日だからな。…特別、だ」

…そう、今日は俺、本多憲二の誕生日。

だからプレゼントは俺だ、なんて言うコイツにある条件をつけて、今情事に身を沈めている。
そう。

その条件とは。

「…それにしても、オマエは本当に可愛いことをいうな」

唇を厭らしく歪ませながらそう囁くコイツに「うっせ!」と軽く噛みつき、目をそらす。

…そう、俺は。

いつも意地悪ばかりをするコイツに「優しく…、抱けよ。」と条件を出した。

確かに優しいは優しい…(ときの方が少ないが)が、いつも意地悪なので、そんな馬鹿みたいな条件を出した。

俺に跨がりながら、うっすらと汗を滲ませ、蒼の眸を妖艶に揺らす恋人が春の夜の月明かりに照らされ、なんとも言えねェくらい…麗しくかっこよく映しだされていた。

微かに開いた窓から入り込む、春の訪れを告げる淡い桜を人差し指で摘まみ、克哉の唇に当てた。

「ククッ…、俺は酔狂だな、本多。…こんな甘ったるい事が幸せに思うなんてな…」

克哉は一瞬蒼の眸を見開き、喉奥で笑いながら、俺を強く抱き締めた。

…あぁ、あたたかい。

当たり前だが、女の子のように柔らかい訳でも胸があるわけでもない。

けれど、そんなのも気にならないくらいに、俺はオマエが好きだ。

…なあ、克哉。

オマエは自分を酔狂だなんて言ったけどよ、…そんなの、俺だって同じだ。

きっと呆れられる程に、オマエが愛しくて仕方がない。

例え憎まれ口を叩かれようと、冷たくあしらわれても。

だけど、オマエはそんな馬鹿みたいに愛してしまう俺に好きだって言ってくれるだろう?

俺は、オマエを全ては理解できないかもしれない。

けれど、俺はオマエを信じているんだぜ。

狂おしく咲く桜に目が離せないように、俺はオマエに溺れている。

こんな酔狂な俺でもオマエは笑ってくれるだろう?

…なあ、克哉ー…。

蒼の眸を見つめていれば、唇が歪み、妖艶に笑った。

「…好きだ。本多。…来年も、…これからも隣で祝わせろよー…」

相変わらずな言い種に思わず笑ってしまう。

これでもきっと、コイツはコイツなりに俺を祝っているのだろう。

だからこそ、愛しい。

漆黒に舞う桜に人は皆酔狂な程に惹き付けられる。

けれど、俺は。

きっといつまでもコイツに捕らわれ、酔狂な程にコイツを愛するんだー…。

ー来年も、再来年もいつまでも。

俺はオマエの隣にいるだろうと、どこか確信しているんだー。


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