鬼畜眼鏡
□恋雪蜃気楼
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昨日私の家に引っ越しをすると決めた、恋人の克哉の荷物が入った段ボールを一通り片付け終えた私はソファーに腰を掛けていた。
牛革のソファーがギシリと音を立て、悲鳴をあげた。
積み上げた段ボールに視線を投げかけ、視界に入った白い封筒を不思議に思い、手に取った。
真白な封筒には筆ペンで達筆な字で「遺書」と書かれていた。
背筋に冷たい汗が垂れた。
先程克哉は「せっかくの引っ越し祝いなのにお酒がキレてるのは嫌ですよね…、…オレ買ってきます!」と言い、財布を持って家を飛び出した。
私は腕時計で時間を確認し、愕然とした。
克哉が家を出てから既に1時間以上経っている。
家の近くにはコンビニがあるため、こんなに遅いわけがない。
遠出するのなら携帯で連絡をするだろう。
私は片手で力強く握り締め、皺のついた封筒の封を震える手で開けてしまった。
中に入っている手紙の内容に、私はまた愕然とした。