Novel short
□HO★KU★RO★
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※変態注意報!
※橘さん好きは観覧注意です!
※神尾と伊武は女体化でもBLでもお好きな方で読んで下さい
それは、何気ない普通の部活中に起きたのである。
橘「ふぅ、暑いなぁ………あ」
神「へ?あ……」
伊「ん?あ……」
橘が額から流れる汗を真っ白なタオルで拭った瞬間、ポロリと黒いある物が落ちた。
それは通常ならば絶対に落ちる筈のないものだ。
お気付き方もいる事でしょうが、橘の額から落下した黒いものとは彼のチャームポイントである額のホクロだったのです。
「「「え、えぇぇええ!!?」」」
不動峰中学にテニス部員の悲鳴が響いたのと同時に橘の身体がフッと力を失い後ろへ傾いた。
透かさず伊武が抱き止めたことで橘は地面にこそ倒れなかったが、腕の中でグッタリとしている。
神「うわわわ橘さん!?」
伊「しっかりして下さい!」
橘「……ぅ…」
うっすらと橘の目が開き、焦点の合っていない瞳がぼんやりと伊武を見上げた。
橘が意識を取り戻した事に取り敢えず安堵した不動峰。
すると、橘はゆっくりと腕を伸ばして伊武の白い首に腕を回した。
橘「はむ」
伊「ぅあ…」
白く細い伊武の首筋に橘が噛み付いた。
噛み付いたとは言え力は込められて無く、言うならば甘噛みの状態であり痛みは無かったのだが。
神「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!」
伊「……〜〜っ!////」
神尾が凄まじい勢いで橘の身体を伊武から引き剥がした。
伊武は頬を赤く染めながら二三歩後退り後ろで呆然としていた森に支えられている。
内「な、ななな何してんスか!」
桜「一体どうしちまったんスか!橘さん!」
神「そうですよ!!い、いきなりあ、あんな……事…!////」
カァ、と顔に熱が集まる不動峰。
そんな彼等を橘は無表情で見詰めていたかと思えば、徐に神尾へと向き直り。
ギュッ…
神「…へ?」
橘「神尾、むぞらしか」
神「ええええぇぇ!!?」
神尾を逞しい腕に抱き締めた橘。
ギュッ、と身体を引き寄せられ耳元で腰に響くような低い声で囁かれて、ただでさえ赤くなっていた顔が耳まで紅潮して行くのを感じた神尾は強く目を瞑った。
「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」
漸く放心から覚めた不動峰が叫び未だにガッチリと抱き締められている神尾ごと橘を担いで部室へと駆け込んだ。
しっかりと内側から鍵を掛けると夏だと言うのに窓すら閉め切って完全に外部からの侵入を絶つ。
今、部室の中にいるのは橘を含む神尾と伊武と森と内村の四人で、桜井と石田は部活をしている風を装いながら外で見張っている。
神「正気に戻って下さいよぉ!」
伊「そうですよ橘さん!」
内「くっ…流石だ橘さん!ビクともしねぇぇぇええっ!!」
森「感心してる場合じゃねぇよ!とにかく橘さんを引き剥がさないと!」
しかし、そんな彼等の健闘虚しく九州の男、橘はビクともしない。
流石自身達が敬愛している人だと敬う反面、この人だけは敵に回したくないと心の底から思った。
先程の件もあり少し距離を取っていた伊武だったが何時までも抱き締められたままの親友を不憫に思い、気乗りはしないが橘を引き剥がす作業に加勢しようと近付く。
伊「橘さん、そろそろ神尾を離してやって下さい」
神「…深司!」
神尾がキラキラさせながら期待を込めた瞳で伊武を見る。
どんなに毒舌でも薄情でも深司は親友だ!と心の中で感涙した。
そして、神尾の背に回された橘の逞しい腕にポンッと軽く伊武が手を置いた瞬間。
伊「ゎっ……!」
神「ぇっ…!?」
伊武も、橘の腕に捕らえられた。
両手に花ばい、と無駄に男前な微笑みを浮かべる橘を横目に、放心する伊武と神尾。
そんな二人などお構い無しに橘は神尾の首筋に顔を埋めて強く吸い上げた。
橘「…ん」
神「っっっっ〜〜!!!////」
声にならない悲鳴を上げる神尾と男の色気ただ漏れの満足そうな笑みを浮かべて艶やかな伊武の髪に顔を寄せる橘。
その姿と今までの行動を振り返って見て、神尾達は何となく橘に起きた異変の正体が分かった。
橘「深司も神尾も、ほんまこつむぞらしかたい」
今ので内村達も理解したらしい。
橘に起きた異変の正体と言うより異変の原因は額の黒子(ホクロ)にあった。
あの黒子が(普通は取れないが)取れてから様子が可笑しくなったので間違いないだろう。
そして、黒子の他に橘から取れてしまったものが、もう一つある。
それは、橘の理性≠セ。
あの大仏のように神秘的な黒子が取れてしまったので人間の本能が剥き出しの、猛獣オーラと言うか男の色気に溢れた橘桔平になってしまったのだ。
制御を失い、普段は出ないように押さえている気持ちや言動が出てしまうらしい。
つまり、今の橘は自分のやりたいように全てをやるのである。
内「あー!だから標準語じゃねぇんだな!」
森「だから!感心してる場合じゃねぇってば!」
普段の硬派な態度ではなくなった今の橘はハッキリ言って普段とは別の意味で男らしくて格好良い。
しかし(一応あるようだが)見境無しにスキンシップを取る辺り、日常生活に支障が出る処か外に出られない。
神「ちょっ、橘さん!それ深司の靴下ッスよ!?」
深「靴下は食べ物じゃないです!口から離して下さい橘さん!」
神「靴下なんか食べちゃダメです
ってばぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
否、もしかしたら黒子と共に取れたのは理性などではなく免疫力なのかもしれない。
名付けるなら真逆病≠セ。
普段とは真逆の行動を取ってしまう病気に病られてしまったのだ。
あの神秘的な黒子が科学では治せない恐ろしい病魔から橘を守ってくれていたのだ、きっと。
それが取れてしまったので病魔が橘の中に入り込んでしまったのだきっとそうに違いない。
これは一刻も早く解決しなければならないと思った森は妙な箇所で感心している内村の腕を強引に引きながら出口へと向かった。
森「黒子だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!橘さんの黒子を探せぇぇぇ!!」
───待ってて下さい、橘さん。きっと黒子、見付けてみせます!
そして、森と内村は石田達の共に黒子を探すべくコートに向かって走り去る。
バタンッ、と無情にも部室の扉は閉ざされ室内には橘と神尾と伊武だけになった。
神「俺等を置いてくなよ!!この薄情者ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
橘「深司、神尾こっち気なっせ」
伊「あいつ等、後で潰そ…っ!」
尊い犠牲の末、無事に橘の黒子は発見された。
正気に戻った彼は何も覚えていなかったんだとか。
まぁ、とにかく橘の黒子は偉大だと実感した不動峰でした。
〜後日談〜
(神尾、そのキスマークは何処の雄犬に付けられたんだ?あん?)
(え?あ!や、これは違っ…!)
(問答無用だ。覚悟しやがれ!)
(ご、誤解だってば跡部ぇぇ!)
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