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□愛しのお師匠様４
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俺は寝起きが滅法悪い。
頼んでもねーのに勝手に起こされるとそいつをボコボコにしちまうし、実は一・二回程殺めてしまったこともある。(反省してはいるんだぜ)
寝惚け半分で男だと顔面が腫れ上がるくれぇ殴り、女なら引っ掻く程度に自動的にやらかす。最中は言ってみりゃ不可抗力で、やり終わった後に我に返る。そんでちょっぴり反省。
自分で起きたとしても寝起きは悪い。只でさえ金色で目付き悪ィのに更にギラついてヤバイことになる。おまけに牙は剥き出し眉間に皺も寄っちまってるから、暫くは誰も寄ってこない。…都合がいいっちゃいいけどな?
…と、まぁ俺が如何に寝起きがやべぇかは分かったと思う。
なんだが、ある人に起こされると微塵もこんな素振りはしないんだよ。ってゆーか出来ないだけだけど。
つまり、お師匠様ね。
一度キレちまった時は、あの青空みてぇな瞳に溢れんばかりの涙が浮かび上がってきたもんだから飛び上がって必死に謝った。
それからと言うと、あの人に起こされるとトラウマ的な感じに飛び起きるようになった。
だから、天竺へ旅してる時も俺を起こすのは何時だってお師匠様。八戒や悟浄は鼻や腕の骨を折られたことがあったからびびって見守ってるだけだったらしいけど。(奴らに関しては俺無罪。だって骨脆いだもん、悟浄。八戒は出鼻だから偶然)
お師匠様に起こされれば被害も最小限で済むし、どうせなら不細工な野郎よりも綺麗な顔を最初に拝みてぇから助かる。
んだけど、
起こし方にかなり問題があんだよな。
まず一つ目。
最初、自分の名前を呼ばれてる様な気がして目が醒め始める。そしたら下腹部に重みを感じるわけ。なんだって思って目を開けると、視界一杯に猿の顔。
「ごくう!起きるのだ、うっきー!」
お師匠様は俺に跨がって人形を動かしていた。参ったよ、ほんと!
「ちょ、」
「おはよー悟空!」
「俺ァ餓鬼じゃないんすよ…!」
「うっき〜」
「聞いてます?!」
「ふふふ」
あれだよ、朝から赤ん坊の気分。猿の人形に起こされたって別にテンション上がんねぇし、寧ろむしゃくしゃする。
って正直に言ったら
「じゃあうさちゃんにする?」
そーゆー問題じゃねぇえええええ
「わんちゃんもいるよ!」
俺は諦めた。
二つ目。
率直に言おう。ボディプレスかけてくる。
「おはよー!」
どげしっ
「ぐっっっ」
まじで、死ぬかと、思った。この俺の腹筋を持ってしてでも死ぬかと思った。つか一瞬呼吸止まったから!
あのお師匠様の軽い体からどうすればあんな威力が生まれるのか理解出来ねぇ。…そこら辺の雑魚と闘うよりよっぽどハードだわ。
「げほっ、こ、殺す気っすかぁあ?!」
「私は悟空にそんなこと出来ないよ」
「ですよねー」
朝からドッと疲れるし相当キツイが、これはかなりご機嫌な時のみ行われるから我慢している。
三つ目。
これは、お師匠様が意図的に俺を起こすというより事故的に俺が起きるパターン。
朝方、寝返りをうつ。すると何かにぶつかって動けない。その窮屈さに目を開けたら
お師匠様が寝てた。
思考停止。脳内真っ白。状況を理解するのに一分はかかったな。
今こそは分かってるからいいけど、最初はホントに度肝を抜かれたよ。だって起きたら同じ布団に仙界のアイドルが丸まってくっついてるんだぜ?
免疫ついてて寧ろ恐怖心さえ抱く俺だから大丈夫だっただけど普通の男なら耐えられずに死ぬね。つーか襲っちゃうね。
でも俺の服ぎゅって握られてたり、抱き枕みたいにされてたら動けねーし、ひどい時は服着てなかった。…なにがどうすると全裸で俺の寝台にいるわけ?
「お、お師匠様、起きて下さいよ!」
「……ん」
「〜起きろッ!」
「…んぁ…おはよー」
「おはようございます今すぐ出て下さい」
「あれぇ…なんで一緒に寝てるの…?」
「なんでって…お師匠様が勝手に、」
「あ。寂しかったのね?」
「は?!」
「ふふふ。大丈夫、私がこれからもずーっと悟空を守ってあげるから…」
「な、な、なっ?!」
「…くぅー」
「って寝んなコラァア!!」
餓鬼みてぇに俺の頭撫でて、トロンとした瞳でそんなこと言った挙句、再び寝る。
…俺より質悪くね?!
つーか普段守ってんの俺だし!…いや、そりゃお師匠様の名前で色んなことから(主に仙人、特に女カから!)守られてんのは俺だけどさっ。なんかショックだよな!
…と、ここまでお師匠様の起こし方について説明した訳だが。どう?酷いだろ?
逆に俺に被害が加わってるっていうね。
朝から最悪だわ。
もう少しマシな起こし方をしてくれるのを願うばかりだ。それと、これ以上変な起こし方を考えないことも。
…まぁ。
お師匠様だから結局何でも許しちゃうけど
【 愛しのお師匠様４ 】
その後、お師匠様が来るより先に気配を感じ取って起きりゃいいんだと気付いた俺は、早速試みたんだけど
「悟空…えらいよ〜!!」
って大分感動したらしく失神するまで抱き締められたから、やっぱこの方法はやめる