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□下校中編
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「ひみこ!待たせたな!」
「ごくーはん!」
「かえろーぜ!」
「うん!」
あの事件後、卑弥呼は防犯ブザーを購入した悟空と一緒に帰るよう妲己に言われ、悟空もまたなるべく一人にならないよう三蔵と約束させられていた。
血の気の多い悟空からすれば、あんなじじい怖くもなんともねーぜ!という気持ちではあったが、毎日登下校を共にするのはまるで兄妹が出来たようで本人達も喜んでいた。
「ひみこ!だがしや寄ってこーぜ!」
「でも…だっきちゃんが寄り道はアカン言うてたし…」
「大丈夫だって!なんかあったらおれが守ってやっからよー!」
歯を見せて笑う悟空に不安そうだった卑弥呼も笑顔で頷いた。二人は元気よく駆け出す。
「おししょおさまとだっきにも買ってってやろーぜ!」
「あ、それええなぁ!四人で食べよ!」
暫くして駄菓子屋へ辿り着いた二人は早速お菓子を漁り始めた。
「うぉー!このハイパーヨーヨーかっけぇ!」
「100円だよ」
「たっか!ばーさんもっと安くしてくれよ!」
「お金がないの?」
「500円ある」
「十分あるじゃないかい」
「しょうがねぇ、この100円チョコは諦めよう」
渋々カゴに戻すと隣で卑弥呼が目を輝かせていた。
「それ、ほしいの?」
「うん。でもお金あんま持ってへんから…これ買ったらおかし買えへん」
一年生の卑弥呼に常に預けられているのは100円。肩を落とす卑弥呼に同情した悟空はその勾玉のネックレスを掴みとると持っていたお菓子とヨーヨーも一緒に突き出した。
「ばーさん!これちょうだい!」
「はいはい」
300円と引き換えにそれを受け取るとネックレスを卑弥呼に渡した。
「やる!」
「…ええの?!」
「うん。おれ優しいから!」
「ありがとう…!」
「でも、しゅっせばらい、だぞ!」
「なんや、それ?」
「いつか金返せってこと!」
微笑むお婆さんに見送られ二人は駄菓子屋を出た。仲良く買ったお菓子を食べていると…奴が現れた。
「オジサンじゃ」
「あー!おっさん!」
「きゃぁ!」
卑弥呼は急いで悟空の後ろに隠れる。オジサンはしゃがみこんで二人と目線を合わせた。
「…なに?きな粉餅ほしいの?わりーけどおっさんの分はねーよ」
「我輩が欲しいのは餅ではない」
「…あっ!?ひみこはぜったいにわたさねーからな!」
「仲が良いのう」
「おししょおさまとだっきと約束したから、ひみこと離れないって」
「…仕向けたのはやはり奴等か。ふはは!二人くっ付けるとは…寧ろ好都合!」
「む!」
立ち上がったオジサンから危険を察知した悟空はランドセルの防犯ブザーへと手を伸ばす。がしかし一歩遅くオジサンの手によって取り外されてしまった。
「はっはっは!この我輩が使わせるとでも思うたか!」
「かーえーせーよ!おししょおさまに買ってもらって、まだ使ってねーんだ!」
「ならぬ。これはオジサンが預かっておこう」
懐に仕舞われた防犯ブザーに悟空は怒り声をあげるとくわえていたきな粉餅の竹串を吹き飛ばした。
「ちっくしょーが!」ひゅんっ
「ぐっ?!」ぐさっ
突き刺さった治りかけの腕(女カ家編参照)に気をとられたオジサン。次の瞬間、悟空の飛び蹴りが迫る。
「甘いわぁ!」
「むきゃっ」
しかしオジサンはその足を掴んだ。悟空は宙ぶらりんになってしまった。
「いい蹴りじゃな」
「はなせー!」
「…まずは一人」
「ごくーはんを放せ!」どぴゅんどぴゅん
「ぐっ、ぐぁああ目がぁああ?!」
卑弥呼のムーンサルトから放たれたミニヨーグルトの蓋がオジサンの両目にヒット。慌てふためくオジサンは思わず悟空から手を離した。
「やるじゃねーの、ひみこ!」
「えっへん!」
「もうゆるさねぇぞおっさん!くらえ、ゼリーソード!」
「ぐっ!ぶっ!」
べちんべちんとゼリーの棒をオジサンの頬に叩きつける。卑弥呼はランドセルから小さな本を取り出すと急いでページを捲る。
「えっと…あったこれや!」
『悪い人に会った時のおまじない☆』
「ふむふむ…これ使えばええんやな…」
「痛いの痛いの、とんでこーい!」
ひゅーーーーん
どかっ
「ぶはぁっ」
どこからともなく飛んできた硬球ボールが脳天に激突しオジサンはよろめく。
「すっげぇ、ひみこ!」
「ウチ、おまじない好きやねん」
「よっしゃ、フィナーレだ!」
悟空は先程購入したハイパーヨーヨーを取り出すと構える。
「喰らえ、大車輪〜!あらよっと!!」
ばきゃっ
ぐぁあああああ
ヨーヨーはオジサンの歯を砕くと美しい弧を描いて悟空の掌へと帰還した。オジサンは倒れる。
「すっごいわごくーはん!」
「だろ!」
「ちょっと待ってな、最後におまじないしたる!」
『トドメの呪文はコレ!』
「110番〜!!」
瞬く間に鳴り響くパトカーのサイレンに清も…オジサンは立ち上がると走り去っていった。
「「やったー!!」」
小さな二人は見事勝利をおさめた。
「おれたちすげー!」
「二人ならもうなんも怖くあらへんな!」
【 下校中編 】
「悟空ー!卑弥呼ー!」
「あ、だっきちゃんや!」
「おししょおさまもいる!」
「遅いから心配してたんだよ?!」
「聞いて!おれたち、あのおっさんやっつけたんだぜ!」
「「え」」
「もう怖ないよ、ウチ」
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段々清…オジサンが可哀想になってきた件